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新・男はつらいよ

「梅の花が咲いております。旅から旅へのしがない渡世の私どもは粋がってオーバーも着ずに歩いちゃおりますが、本当のところは暖かい陽射しのさす季節を恋焦がれているのでございます」・・・。 寅さんの独白で始まる4作目。伊達の薄着と言いますが、やせ我慢が粋である寅さんの信条をつぶやいております。ジュリー、ボギー、聞いてるかい?あんたらの兄弟・柴又ダンディがここにいるぜぇ。 春まだ遠い峠の茶屋で、一人バスを待...

ガンジスに還る

 かつて国語教師だった(そして、家族も知りませんが全く売れない詩人として著作もあった)77歳のダヤは、このところ毎晩奇妙な夢ばかり見ます。 まばゆい陽光の中、木の上に腰掛ける少年だった自分を現在の自分が見上げるのですが、懐かしい母の呼ぶ声に向ってかけていく少年の自分を追いかけても追いかけても届かず、無人の村をさまようばかり・・・。 ダヤはこの夢を「近づいた死期」のメッセージと理解し、一緒に住んでいる...

男はつらいよ フーテンの寅

 誰かの祝言で賑わう宿の一室、10代の女中さん(樹木希林だ)に看病されながら風邪で伏せてる寅さん。「お客さんは家族いるの?」と問われて、とらや面々との写真を見せながら「これが俺の子供だよ」と、ついてしまった小さな嘘。「所帯かぁ」・・・。後味の苦さが、里心をくすぐります。  浅草に戻った寅さんを待っていたのは、まさかのタコ社長セッティングのお見合い話。しかも明日とは相変わらずのテンポの良さ。好きな女性...

湯を沸かすほどの熱い愛

「湯気のごとく、店主が蒸発しました。当分の間、お湯は沸きません。幸の湯」・・・。と寂しい一枚の張り紙。古い銭湯は休業となっていました。 一年前に姿をくらました夫・一浩。残された妻・双葉は随分探しましたが見つけられず、ベーカリーで販売のパートをしながら諦め半分で高2の娘・安澄と暮らしています。 暮らしも心配ですが、安澄が学校でいじめられているらしいことも心配のタネ。それでも明るく振る舞う双葉ですが、...

ブレージングサドル

「やった!新しい保安官が来たぞ!」「おー、これで町は救われる!」「・・・。いや・・・、変だぞ。・・・黒人だ」「んぁぁぁぁッ!? なんで黒人がぁ!? 認めんぞー!やっちまえー!」  ええぇ?何、この露骨な人種差別。 悪漢どもに蹂躙され崩壊寸前の西部の町、ロックリッジ。そこへ馬に乗り颯爽とやってきた新任保安官・バート。しかし全員白人の住民は、男女を問わず彼に銃を向けます (´・ω・`)。「(子供みたいな声...

続・男はつらいよ

 前作(一作目)で、帝釈天題経寺の高僧・御前様(笠智衆なんだ)の娘・冬子に熱を上げたものの、彼女には婚約者がいたというサイレントな振られっぷりで浅草を後にした傷心の寅さん。 旅先の宿で見る夢は、生き分かれた瞼の母。「もし、もし人違いだったらごめんなさい。もしやあなたは、お菊さんじゃございませんか?あっしの顔に見覚えはございませんか?おっかさんのせがれ、寅次郎でござんす・・・」。 ・・・またこの夢か...

あの夏、いちばん静かな海

 少し変わった映画でした。  見始めて随分経ってから気が付いたのですが、なんか動かないんです。固定されたカメラでそのまま映しているようで、同じ視点がずっと続きます(映画見て初めてそんなこと考えた)。画面の左から現れた人は、そのまま歩いて行って右端に消えていきます。見ている側は、道路の反対側からずっと眺めてるような感じ。 こんな感じの画面って、あんまり見たことがないなぁと。 普通、映画やドラマって、...

まぼろしの市街戦

 彼が見たものは奇妙なカーニバルだったのか、それとも、あらかじめ失われた楽園だったのか。 第一次大戦末期、フランス北部の小さな町。敗走するドイツ軍は、機械仕掛けの騎士が0時の鐘を打つと町ごと吹っ飛ぶほどの爆弾を隠して逃げました。 暗号名「タラ」のレジスタンスは市民に避難を呼びかけ、後方のイギリス軍にも報せますが、爆弾が仕掛けられた、真夜中に爆発する、騎士が打つ、といった断片を伝えたところでドイツ軍...