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広島現代美術館:ドリス・サルセド



連休の一日に行って来ました、現代美術館。

なんでもそうですが、初めて行ったときは多少の緊張があるものの、一回行くとそれなりに慣れるもんですね。はぁ。

で、ドリス・サルセドさんですが、もちろん知りません(笑)。ヒロシマ賞っていうのも知りませんでしたし。

広島市のホームページより→ヒロシマ賞は、現代美術の分野で人類の平和に貢献した作家の業績を顕彰し、世界の恒久平和を希求する「ヒロシマの心」を現代美術を通して広く世界へとアピールすることを目的として、広島市が平成元年(1989年)に創設した賞で、3年に1回授与しています。

だそうです。知りませんでした。


たまたまなんですが、学芸員の方が解説してくれながら見られる機会に恵まれたので、乗らせてもらいました。これがよかった。親切で丁寧なので、ドシロートのおっさんでも興味深く見ることができました。

なんでも、ドリス・サルセドさんは、コロンビアの女性で国際的なアーチストだそうです(シロート丸出し)。




そもそもコロンビアっていう国自体が麻薬犯罪、暴力が日常的であり、そこで育ち、海外では人種差別を受け、と。そうした暴力や差別などに対して、アートで異を唱えてこられてきた方、とか。

館内で、ドリスさんの活動を記した映像も見たのですが、理不尽な暴力に対して個人として無力であること、しかし悼み、寄り添うことができること、それをアートで表現することで見た人の気持ちを揺るがし、暴力に抗する共感が拡がれば、とのことでした。

主な展示は、わずかに2点のみ。




こちらは、本物のバラの花びらを(長期の保存に耐え得るよう)加工し、一片ずつ縫い合わせて作った巨大な布「ア・フロール・デ・ピエル」。

拷問を受けて亡くなった名も知れぬ女性を悼み、彼女の亡骸をバラで包んであげたい、との想いからの作品とのこと。部屋中を覆う大きさは、彼女のみならず、数知れぬ理不尽な死を強要された人々を包めるように。


「ア・フロール・デ・ピエル」とは、「皮膚の表面」という意味だそうです。生皮を引き剥がした生体のような、生々しい赤色。死者を包むには華やか過ぎる印象のバラは、死者と一体になるほどの、赤。痛々しさに我が身を抱きしめるほど。





もうひとつは、質素なテーブルの上に土を盛り、更にテーブルを逆に重ねた「プレガリア・ムーダ」。




こちらも、理不尽な死に突き落とされた人々を悼んだ作品だそうです。内戦や暴力により、横たわることもできないような惨い死を押し付けられた人々に、せめて棺の代わりに、と生前囲んだであろうテーブルを。

よく見ると、裏返ったテーブルからは草が実際に生えています。死の向こうに、希望の再生を願って。



少し離れて見ると、上下が対になったテーブルは、水面に映った姿のようでした。それは、生と死での鏡面なのか、は私にはわかりませんが、そんな風に見えました。

作者自らがレイアウトした並び方にも、何か意味が込められているのか、寄り添ったテーブル、ひとつぽつんと離れたテーブル、高さの違うテーブル、土の厚みの違うテーブル、新しめのテーブル、古びたテーブル・・・。

ひとつひとつが墓標のようで、フロア全てが墓標に埋め尽くされ、さらに拡っていくかのようで。外には実際に数万人がかつて焼け死んだヒロシマ。実際、この美術館の隣には、連合軍がヒバクシャを研究した施設が今もあります。


「プレガリア・ムーダ」とは、「沈黙の祈り」という意味だそうです。厳粛な気持ちになり、なかなか部屋を出ることができませんでした。
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コメント

非公開コメント

No title

前衛的なのはよくわからないけど、説明してもらうとなんとなく理解できる (ような気がする)。

関係ないけど、最近FBが動画の自動再生を取り入れて。
見たくない動画が勝手に再生されるだよね。
処刑ビデオとか…。
リンチに近いものだったり、迫害系だったり。
世の中どうなっとるんやろ

No title

私もアートはドシロウトですが、なんだか胸をうつ作品ですね
homeさんの解説、たいしたもんですよ!!

No title

あきらさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

いやいやいや。私も親切な学芸員さんのおかげで、どうにか見ることができました。ポスターだけ見てたら、なんのこっちゃいなって思ってましたから。

初日はご本人さんがお話しするイベントもあったそうで、そういうのも行ってみようかな。

それにしても、なんじゃいな、その動画。世の中、間違ってますわ。ハイテクもロクなことに使われてません。

No title

Kyalaさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

いや、ホントに学芸員さんのおかげです。ま、ちょっとづつ教養が身につくといいなぁ。こんな一方で、東スポとかも読むのですが。