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ユートピアを求めて ポスターに見るロシア・アヴァンギャルドとソヴィエト・モダニズム 世田谷美術館





   急に東京出張が入ったのですが、半日くらい空けられそうなスケジュール。

   んじゃ、土曜の午後はどこぞの美術館でもと、こちらに行って来ました。ソビエト独特、あのちょっと妙なポスター展(だと思ってた)です。

   ネットで見かけて、なんか面白そうなと思ったんですが、以前、建築とかデザインの本読んだらロシアのデザインって、前衛さが定評あるとか。知らんぞ、そんなん。まぁ、仕事も片付いたので、ちょっと行ってみましょう。





   電車乗ってバス乗って、しばらく歩いてやっと着きました。でっかい公園の中にある美術館。犬連れて散歩してる人がたくさんいます。外国みたい。




   エリ・リシツキー さんという人の「赤い楔で白を打て」という作品が、まず飾ってありました。あー、この感じ。

   当時の背景が書いてあるので読んでみますと、
→帝政ロシアが倒れてレーニン率いるソヴィエト(ソビエトじゃないんですね)連邦が誕生
→若き芸術家たちも革命成就とユートピア建設のために、アートで参加した

   ふーん。スマホで「ロシアの歴史」とか、泥縄で読んでみたりして。そんなんやってるの私だけですが。みんな教養あんなぁ。

  上の「赤い楔」は新体制、白いのは旧体制と。赤軍、白軍って言ってたそうです。スマホで知りました。


   さて親分レーニンさんは、新しい国の素晴らしさを広めるため、これら前衛芸術を奨励&利用したそうです。革命後で国そのものは相当貧しかったそうで、「あー、新しい体制はいいもんだなぁ」って、みんなに思わせなきゃいけないから、娯楽&宣伝のために映画を多いに利用して。「演劇だと一箇所だけど、映画だとフィルムたくさん用意したらあちこちで見せられる」とか。

   で、次のフロアから、1920年代の映画ポスターがものすごいボリューム(絵もでかい)で続きます。




   あー、素敵ですね。しかし、おおよそ100年前のポスターですわ、これが。

ウラジミールさんと、ゲオールギーさんのステンベルク兄弟の作品だそうです。って、もちろん初めて知りましたが。この人たちの作品(映画ポスター)が、ものすげぇたくさん展示されてるんですよ。






   これはわりと色が多いのですが、ほとんどは赤と黒中心。インクも充分じゃなかったそうです。でも、なんか独特ですよね。なんでしょうか。極端なアップだったり、なんか斜めだったり、字もぐるぐるしてたり。

   この後、ステンベルク兄弟のドキュメンタリービデオをちょっと見たのですが、この時期は20代後半だった(すげーイケメン)とか。幾何学模様に強い兄が構図を決めてラフに描いたものに、絵心ある弟が細かく仕上げるって分担だったそうです。

   ところが、レーニン亡き後親分になったスターリン(岡田眞澄とそっくり)が前衛芸術を徹底弾圧したために、活躍の場は全くなくなり、生涯批判にさらされたそうです。

   それどころか、弟さんは「謎の」交通事故死。わずか33歳で。兄は、国に謀殺されたと信じ続け。当たらずとも遠からじ、な気もしますが。

   悲しいことに、二人は終生憧れたパリを一度だけ訪れ(パリ万博出品→金賞受賞&才能激賞)、亡命まで勧められながら、新しいソヴィエト(=将来のユートピア)を迷った挙句選んだ果てのことだったそうです。

   こんな風に取り上げられるようになったのは、最近10年くらいのことだとも。弟を亡くし、幽閉同様に生涯を送った兄の最後の言葉は「私の人生も、大したことはなかった・・・」だったとか。発表の場も与えられなかった兄は、終生、若かった(&二人で過ごしていた)頃の作品を修復し続けていたそうです。

   涙が出ました。


   最後の展示は、「第一次五カ年計画と政治ポスター」。



   来た来た、これこれ。もー、全編この調子。



   大変な迫力というか、軽く呆れるほど。こんなもんしか貼ることが許されない街って、イヤだろうなー。

   そして、これらの作品を創った、前衛芸術弾圧後の主役であったはずのグスタフ・クルーツィスさんも、その後処刑されたとか。


   狂っとります。


   何度も戻って見直したりしていたら、2時間以上もここにいました。楽しかった、というのともちょっと違うけれど、自分なりに堪能しました。

   すごかったなぁ。
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