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問いかける技術 エドガー・H・シャイン



  「謙虚に問いかける」は、相手の警戒心を解くことができる手法であり、自分では答えが見出せないことについて質問する技術であり、その人のことを理解したいという純粋な気持ちを持ってる関係を築いていくための流儀である。

   組織の幹部は決まってこう言う。「自分たちはオープンであり、部下の意見を聞きたいと思い、いつも真剣に受け止めている」。ところが、部下の話は全く逆で、悪い知らせを伝えることに彼らは不安を感じている。その種の報告に対して何の反応もなかったりするので、自分たちの情報提供は歓迎されないと結論づけ、諦めてしまっている。悪い知らせによって上司の反感を買うよりも、高いリスクを孕んだ選択肢を選ぶと言うことが、驚くほど頻繁に組織の中で起こっている。

   謙虚さには三種類ある。本書は③の重要さについて論じる。①基本的な謙虚さ→出自や社会的地位への尊重  ②個人の努力によって得た社会的地位への賞賛や羨望   ③「今ここで必要な謙虚さ」→情報や助力を相手から得るため、謙虚にならざるを得ない状況

   リーダーこそが「謙虚に問いかける」を実践せねばならない。それは、部下をはじめとする自分よりも地位の低いメンバーに、自分は実質的に頼っているという事実を認識することだ。

   人と話している時、私たちは実に様々な信号を送っている。手振り、声のトーン、話し出すタイミング、進め方、服装や身につけているもの、視線の動かし方等々。あなたに対する総合的な印象は、あなたから発せられる全ての情報に基づいて形成されるのだ。だが、こうした情報の大半は本人の自覚のないままに送られている。

   人付き合いをして行く上でもっとも難しいのは、通常は伏せておくことをどこまで相手にさらけ出すべきか、という問題だ。私たちは誰でも自分の不完全さを認識している。もちろん、人はあなたの欠点を見抜いているが、決してそれを口にはしない。それをやってしまうと、あなたの方も相手の欠点を指摘してしまうので、互いに自尊心を喪失してしまうからだ。個人的なことについて打ち明けたり、相手に尋ねたりすることは、こうした文化的なしばりから抜け出す方法である。課題の遂行を優先するプロとしての自己を脱ぎ捨てて、明らかに業務とは無関係なことを相手に話したり聞いたりすると、その人はあなたの存在を認め、もっと打ち解けた反応を示すようになる。

  「自分が動き、自分が話す」という、課題の遂行を優先するせっかちな文化を持つ人たちにとって一番重要なのは、内省することを学ぶことだ。(中略)すぐ行動に移す前に、自分に問いかけてみよう。「今、ここで何が起きているのか」「もっとも適切な対応なんだろう」「私はいったい、何を考え、何を感じていて、どうしたいと思っているのだろう」。もし、その仕事を効果的かつ安全に終わらせなければならないのであれば、次の質問を自分自身に投げかけることが重要だ。「私は誰に依存しているのか」「私に頼っているのは誰か」「コミュニケーションを改善するには、誰との付き合いを深めたらいいのだろう」

  「謙虚に問いかける」ことは、状況が正しく見極められていることを前提としているので、「ほかに何が起きているのか」と自問することはとても大切である。(中略)複雑なことを 受け入れて対処し、物事を幅広く経験し、それらに素早く柔軟に対応できるという人間関係の能力を私たちは尊重し、称えるべきなのだ。



   いいトシになって、ようやく自覚するに至ったひとつが、「自分の能力は思ってるほど高くない」ことです。

   チームの一員として、割り当てられた役割を果たすことが主だった頃は、好きなだけ動いてりゃOKみたいなとこもありましたが、マネージャー色が強くなってからは、なかなか難しいことも多く、伸び悩んでいるのが正直なところ。

   人を動かすというのは、思っていたより難しいなぁ。上司として指示や命令を出せばそれだけで動くわけでもないし、また本人が納得してやる気にならないと、いざ想定と違うと途端に止まってしまうし。「あんたの言った通りにやっただけだよ。こっからどうしたらいいの?」なんて態度が透けて見える時もありました。

「謙虚に」→自分を相手より上に置かない
「問いかける」→命令ではなく、相手の自発的意思に訴える=自責に持っていく

   言うのは簡単ですが、私自身は個人的な信頼関係の上にやりたいなぁ。その濃淡はあるにせよ。単なる利害だけの関係でなくて、せめて(その場だけでも)互いの存在を認めて。

   と思ってやってきながらも、なかなかうまくいかない中、概ねそれと重なるようなことが書いてありました。それほど、的外れな考えではなかったのかも。

  それでも、目が覚めるような結果が出てるわけではなく、気疲れも少なくないのは、どこが足らない、改めるべき点があるのでしょう。

   最後のあたりに出てきた「行動を起こす前の内省」が、まずは取り組むべき課題と定めて、実践を始めました。

   自分を天井あたりから眺めているつもりになって、今起きていること、為すべきこと、そしてそれをしようとしない自分は何に引っかかっているのか。大抵は、しょうもないエゴや、理解できていない力不足ですが。

   まずは「行動を起こす前に内省」してみよう。やってみて、また「内省」してみよう。少しづつ習慣にしていけるように。
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