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没後30年 鴨居玲「踊り候え」/東京ステーションギャラリー

    東京出張の帰りに行ってきました、鴨居玲さん。もっとも、実物を見るのは初めてですが。

   いや、東京ステーションギャラリーも初めてです。迷ったもん。まさか、改札口の隣に美術館があるなんて。いいなぁ。



   金沢に生まれ、スペイン~パリ~神戸と転々として、人の内面をひたすら描き続け、描くものを見出せなくなったと自らを追い込み、命を絶った画家。

   大変な美男でもあります。




   作品に混じって、スペインで女性と踊る写真も飾られていました。伊達男、です。モテただろうなぁ。


   その作品は、暗く、重い印象です。




    大げさや、斜に構えているわけでは決してないのでしょう。酔っ払いも、片腕を失った廃兵も、悲しい感情を象徴しているようには見えませんでした。

   ただ、そのまま。


    恐らく、恵まれてはいないであろう彼らのそのまま。幸福、とは言い難いのかもしれませんが、一時の酔いが解放してくれる刹那の幸福。廃兵がかつて過ごしたであろう幸福な時間があったことを。



   スペインの小さな町のバー。人物が右端に追いやられ、カウンターがほとんどを占めるヘンな構図です。画家はどこから眺めているのやら。

   ひたすらに、こういう絵が現れます。なんちゅうのか、幸福を無邪気に肯定するような、誰にもあるような素朴な思い出を刺激するようなものでは全然ない絵が続きます。

    東京駅の一角にある美術館は、100年前のレンガがそのまま壁面になっていて、照明も素敵でした。



   3階から2階に降りていく階段。




   私は初めてなのですが、一旦日常に戻りがちな「通路」がとっても 素敵だったので、すんなりと絵が並ぶフロアに戻れました。


 風船と戯れる老人。幸福なのか、そうではないのか。



   海外を放浪し、たどり着いた神戸の町。画家はそこで命を絶ったそうです。描くべきテーマを見つけられず(!)、かつて自らが描いた人物達に囲まれて、白紙のカンバスの前で痴呆のように口を開けて。


    この絵、すげーデカいんですよ。もちろん初めて見ましたが。自分が描けないことをひたすら精緻に描くという行い。痛ましく、痛ましく。


   以後、焦燥と嘲りと失意に満ちた自画像が繰り返し現れます。






最後には道化の姿で。


   えらいもんを見てしまいました。人はこれほどのことが表現できるのか。
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コメント

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No title

おはようございます。

もうよく覚えていないのですが、私も以前
鴨居玲さんの展覧会を見て、たまげました。
ポスターとポストカードを購入して帰ったのですが、
妻から「こんなの飾れるか!」とバカにされ、
日の目を見ませんでした。忘れていました。

No title

何をもとめて描くものを捜していたのでしょう。
ひとの内面の暗いところを描きたかったのかなぁ。
迫力ありますね~。

No title

カバオさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

えー、申し上げにくいですが、奥さんが正しいと思います(笑)。ちょっと、リビングに飾る絵ではないですよね。

No title

はのはのさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

裸婦をテーマにしようとして、結局納得いかなかったという話が紹介されていました。私ごときの目には、その習作で終わった未完の裸婦でさえ、劇的な作品に見えたのですが。