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そこにある、時間/原美術館



 休みもなく東京出張に行ってきた年の瀬。半日時間をつくって行ってきました。
 
 
 もちろん全然知りません。なんか面白そうだったんで。行く理由は、いつもそれだけですが。
 
 
 広島駅の3倍はラクにありそうな品川駅から歩いて15分。外国の大使館(さすが東京)とか、外車ばっかり停まってる高そうなおうちが並んでる住宅街の中にありました、原美術館。


 
 
 クラシックな私邸(戦前の建築とか)を美術館にしたんだろうな、ってつくり。重厚&おしゃれです。




 
 写真展って、あんまり見たことないのですが、「そこにある、時間」ってタイトルと、「ドイツ銀行による世界屈指の質・量のコレクションから選ばれた云々」っていうのに興味が湧いて。
 
 
 「そこにある、時間」って、なんかロマンチックな感じを私は受けたのですが、館内に入ると「現在は次々と過去になっていきます。写真とは、過去になっていく現在を切り取ってイメージに定着させるメディアです。そして写真を見るということは、かつて現在であったものが必ず過去という、見る側とみられる側の絶対的な時間差があり・・・」・
 
 小難しい。
 
 面白そうだけど。
 


 
 で、ネットにも画像がほとんどない作品ばかりで、ここにもあげられませんが、60年代あたりのウクライナの海水浴(湖畔ですが)風景のモノクロスナップなんて、とっくになくなった牧歌的な空気と、政変に翻弄され続ける(今も)ウクライナってことが切ない気持ちにさせてくれました。
 
 こういう感情は、趣旨に適っているのでしょう。
 
 
 ナチスのユダヤ人収容所(=殺人工場)の青空を所長自ら写したモノクロ写真。説明がなければのどかな青空ですが、その下には殺そうとする者と、意に反した死を強制される人たち。うぇぇぇぇ。
 


 「帰郷」なる作品です。昔の家族写真風の人物は難民たち。その後ろにあるチープな書割は故郷に残した家のリビング。同じ構成で別の家族のものもありましたが、どちらも痛ましい。もうひとつのは、顔つきも幸せそうでなかったし。いや、幸せなわけないか。
 
 で、こうやって他人事として見てる私の視点、視線。時間も空間も隔たってます。
 
 
 最初はなんだかわかんなかった、「系図」なる作品。


 木目の壁紙、だそうで、ところどころにある穴は、かつて家族の写真を留めていたピンとかの跡、とか。
 
 何がどうなったかはわかりませんが、失われた時間、人たちがそこにいたことを示す写真と気づくと、なにやら切なくて。
 
 

 これ、素敵でした。「私の未来は夢にあらず」という作品。

 
 中国の工場、倉庫で実際に働いている若い従業員さんの夢を実際に演じてもらった連作。無機質な倉庫の中で、ダンサーを夢見る女性が誇らしげに踊ります。そこだけが華やかで、でも決してみじめではなくて。
 




 これも素敵でした。やなぎみわさんという女性の手による、連作。なんでも20~30代の人たちに「50年後の自分がしている夢」を語ってもらい、実際に50年後のメイクをしてそれを演じたものだそうです。さっきの「私の未来は夢にあらず」とちょっと似てますが、これはもっともっと先の、適えたい姿というよりは、まぼろしのような憧れでしょうか。
 
 この写真は、自分で飛行機を自在に操縦する老女、という設定。とても清々しくて、凜としてます。この日、一番ぐっときたかも。
 
 
 なんでも男女問わず「夢」を集めたのに男性のそれは面白いものが少なくて、出来上がったら女性ばかりになったとか。
 
 
 他の作品ですが、今が恵まれた境遇ではなさそうな男が、海を(おそらく、その向こうにある望ましい土地を)見ている後姿の作品がありました。

 なんか辛くて、胸にせまって。


 男って、つまんないのかな。もう若くはないけど、面白いほうがいいなぁ。
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