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君が叫んだその場所こそがほんとの世界の真ん中なのだ/東京ステーションギャラリー




 出張の帰りに行ってきました。
 
 なんかタイトルがかっこいいのと、東京駅内にあるので新幹線にすぐ乗れる=ちょっとでも長く見られるの理由で。
 
 ですから、ネットに書いてあった「小説とのコラボ」「パリのリトグラフ工房に集まったアーチスト云々」は全然わかんないままで。
 
 
 改札抜けたらそこに入口。圧倒的に便利です。日本一行きやすい美術館でしょうて。


 
 リトグラフって何なのか知らなかったのですが(モノ知らんなぁ)、石でやる版画なんですね。感光材を塗ってネガを焼き付けると写真もできるとか。世の中知らんことばっかり。
 
 で、この「パリのリトグラフ工房」→「Idem Paris(イデム・パリ)」ってところが、100年前からあるそうで、ピカソやシャガールも製作をしたとか。そういうところで今の芸術家さんたちがやってるなんて、素敵です。
 
 「あぁ、かつてピカソがやったこの工房にオレがいる」と思えばそれは奮い立つことでしょう。いろんな人の作品があって、バラバラっちゃバラバラなんですが、共通項は「この工房でやった」ということ。中には、工房の壁そのものを写し取った作品さえありましたから。
 
 


  フィリップ・コニェさんって人の「自画像」。
 
 写真を撮る→トレースして描く→透明な特殊フィルムを貼る→熱して溶かす→はがす→下層の色が混ざり合って、元々の絵そのものが曖昧なものになる→完成。だそうです。
 
 他にも、屠殺場とかスーパーマーケットとか、ビル街風景とかあったのですが、みんな夢の中の風景みたいにぼやけて何だかわからない一歩手前。「曖昧になることで、創造と記憶の領域が生まれる」という意図だそうです。
 
 見たままのものや、自分の心像を再現することだけが表現ではないのね。私がどう見て、どう感じて(誤解でも)たっていいのね。と思うと、わけわかんない作品であろうとも平気です。好きか嫌いくらいは自分で決められますので。
 



  これは好き。バルテレミー・トグォさんってカメルーンの男性の作品。自身が非アフリカ圏で受けた人種的な屈辱も踏まえて、ヨーロッパで使命感を持って活動し続けている方だそうです。
 
 身一つの勇気、を感じました。そいう解説を見なかったら、人体(?)から伸びている神経らしきものが、いろんなもんと繋がってることの面白さしか感じなかったでしょう。他にも、見てみたいなぁ。
 
 

 キャロル・ベンアケンさんという方の「(ロスト)パラダイス・ブルー」なる作品。パラダイスとか言っても、安もんの看板みたいな南国の絵がペンキ剥げ剥げになっていくような感じです。近寄ってみたのですが、剥げていってるような白い部分は、上から何か貼ったようでもあって、よくわかんなかったのですが。
 
 ロストパラダイスなんて言うにはチープなそれは、そもそもパライスなんて本当にあったもんやら。いや、そんな楽園でも失くなりかけてるんですが、それが自分で塗りつぶしてるとすれば、それはいらないものなのか。
 
 3階と2階がギャラリーのこの美術館は、まず3階にあがってから下に降りる順路になっています。3階最後のこの作品まで見て思ったのは、内容はよくわかんなくても、これを創作した人と、それを見た自分がいるってことでした。
 
 
 東京駅建築当時のレンガをそのまま生かしたこの建物は、2階に降りる階段を歩くのも何かの展示を見るようで素敵です。







 
 
 2階にもいろいろな人の作品があったのですが、強烈だったのはカルト映画監督のデヴィット・リンチさんの作品群。


 
 って、言いながらこの人の映画を見たことはありません。「イレイザー・ヘッド」見ようとしたけど、気味悪すぎて。1時間50分もあんなもん見られませんわ。その晩、怖くて眠れそうにないし。
 
 
 これが、15点くらいあったのですが、どれもこれもいちいち怖い。全部変です、ダークです。
 

 「オマエを連れて帰る」。・・・どこへ? 何が起きるの?
 
 

 「雨の中の男」。・・・雨はただの雨? この男は何者? 

 

 「頭の修理」。・・・自分の頭、なのね。なんで修理がいるの? どうやって修理するの? それは「正しい」状態に戻ることなの?
 
 
  一番広いスペースにリンチさんの作品があって、フロア中央の椅子でしばらく休みました。気持ち悪くなって。
  
  
  
 



  本業は映画監督のリンチさん。この工房を紹介する8分程度の映像作品も上映されていましたが、これもダーク。そう思ってみるからなんでしょうけど、伝統ある機械は恐ろしい拷問器具とかに見えて。
 
 今朝のテレビで、この展示会の紹介があったのですが、リンチさんのこれをそのまま工房紹介に使ってました。明るいリビングのテレビで見たら、随分違う印象で。やっぱ、それまでにさんざんダークな作品見せられて、私もおかしくなってたんでしょうか。ま、それはそれで実際に行った楽しみでしょうが。

 

 アナーキーな写真家、森山大道さんの「下高井戸のタイツ」。ひねりも覆い尽くすようなエロさ炸裂、であります。クラクラして、正視できず。パリまで行って、工房の職人さんにこれを刷らせたのか。グレィトォォォっっっっっ!!!!!!
 
 


 ポール・マッカーシーさんの「無題」なる作品群。暴力っすよ、これ。暴力。 全部モザイクかけないと。すげーなー、最後はこれで締めかいな。
 
 帰りの新幹線で調べたら、公序良俗に反するような「アート」連発して世の中騒がせ続けてる人なんですね。面白いなぁ。
 
 
 
 この展示をプロデュースしている作家・原田マハさんの小説を読んでみることもなく、何の下調べもなく、クリエータ(20人とか)のほとんどを知らずに行ってきましたが、自分なりに面白かったです。
 
 
 このタイトルは、原田マハさんががこの工房のために書いた小説の一節だそうですが、読んでないのでどういう文脈の中で語られたかはしりません。
 
 ただ、表現って好きにやっていいんだ、それを見て好きに楽しんでいいんだ、と改めて思った次第。不勉強を居直るわけではないながらも、評論家でもないおっさんが乏しい知識でウンチク傾けてどうする。
 
 そんなしょーもないことよりも、感じたものを楽しみますわ。だれかが叫んで、囁いて、どこかでつくった作品を縁あって私が見る、感じる(感じないこともしばしば)。それは、各々の感情が動いた時・場所が各々にとって世界の中心なんだろうって、勝手に解釈して帰りました。
 
 
 たった1000円で、こんなもん見られるなんて。面白かったなぁ。
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