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北斎の富士  冨嶽三十六景と富嶽百景/広島県立美術館




 休日の午後、行ってきました。年始企画はめでたいのもが多いので、歩いて25分くらいのところに建ってる市立と県立の美術館で似た感じになるのは仕方ないかも。



 
 超有名なものは見たことありますが、150点もの展示なんて初めてです。しかも富士山づくし。
 
 
 学芸員さんの案内のある日時に偶然あたったので、しばらく一緒に歩きます。そもそも北斎さんとはどんな人なのかってあたりから始めてくれるので、ありがたい。
 
 1760_1850の人なので、今から200年前の人なんですね。それも知らんのですが。50も生きれば長命の時代に90まで生き、しかも死ぬ寸前までアタマもはっきりしてて絵を描き続けてたってんですから、超人的。何かの天命があった人なんでしょう。
 
 100という数字にこだわりがあったらしく、生涯引っ越しを93回もしながら、「100まであとちょっとやった」と悔しがってたとか。いうなれば100って「無限」に近い意味でしょうから、限りなく突き抜けたかったんでしょうか。とんでもないエネルギーの持ち主です。
 
 


 
 さて、いきなり有名なヤツ。これは見たことがある。どっぷーん、です。
 
 すごい波です。もう、真ん中の富士山だけ固定されてて、その周囲が360度ぐるぐる回ってるみたい。で、富士の不動さ・雄大さを感じるってことなんでしょうか。
 
 船から振り落とされまいとしがみつく人たち。この大きさからしたら20メートルくらいの超大波でありえへん、ですが、こういう誇張っていいんですよね。きっと。表現ですから。表現。
 
 波の先っちょは、何かの生き物の爪みたいです。まさに人に襲い掛からんとするような。フランスの画家さんたちが衝撃を受けたとか。人種や文化を飛び越えるその表現力・想像力。
 
 大体、200年後の私がびっくりしてるんですから。北斎さん、すげーぞ。
 


 これがカッコよかった。快晴と雷鳴の同居で、実際に起きる現象だとか。抽象化されたカミナリ、カッコいいですね。とにかく富士山は動じないってことで。
 
 
 北斎さん自身は江戸に生まれて生涯を過ごしたそうですが、富嶽三十六景は関東一円から果ては名古屋からの景色までカバーしています。実際に行ったわけではなく他の絵を参考にしたそうなのですが、メディアも交通手段もない当時、それは旅行記に近いもんだったんでしょう。実際、私も行ったことないところがほとんどなので、「あー、そんな風景なんだ」とか素直に思ったりします。



 
 こちらは、現在の愛知県豊橋となる茶屋風景。窓からの富士を紹介されて驚くお姉さんたち。富嶽三十六景は「あちこちからどっしり見える富士山」がひたすら続きます。
 
 


 富士山は水面にも映ります。逆さ富士。が、これは単に逆さに映ってるだけでなくて、季節まで反転してるんですね。200年前のシャレに笑わされました。ありがとう、北斎さん。
 
 
 東京にちょいちょい出張してるおかげで、知ってる地名も出てきます。
 


  先日眺めに行った日本橋からの富士山。実際に江戸城(皇居)と富士山が一直線に見えるのかはわかりませんが、そんなことはどうでもいいです。
 
 
 


 こちらは品川御殿山のお花見風景と富士山。どっかで聞いたことある思ったら。去年の暮れに行った原美術館のあるところ。あー、通った通った。うれしいなぁ、途端に親しみも増してきます。
 
 
 


 これは江東区あたりからの風景だそうですが、なんだかビーチから海を眺めてるような感じって、勝手に面白がってました。

 
 定規で引いたような線ですが、実際に定規でひいてたとか。で、その線が富士に集まってるんで見る人の視線を富士に誘導してるそうです。ふーん。
 
 
 
 途中、版画がどうやってつくられるのかを紹介した映像のコーナーがありました。
 
 絵師が絵を描く→彫師が忠実に彫る→刷師が彩色し写し取る。って、大まかにはこういうことだそうなのですが、とてつもなく大変な作業でした。そもそも、絵をそのまま彫るなんて。
 
 絵を版画の原木に貼って、薄紙一枚まで剥がした上から精密に彫っていくんですが、ひとつでも失敗したらオシマイです。見てて苦しくなるくらい。
 
 彩色するって、多色刷りはパーツごとに刷っていくのですが、何回見てもよくわかりません。なんであんなにきれいにできるのか。
 
 そもそも手作業なわけで。こないだ見た石版画とかエッチングって、化学的にマスキングするのはわかったのですが、こちはら手です。すごいなぁ、手仕事ニッポン。本当にすごい。
 
 
 だから版を重ねると、だんだん微細なところが潰れてきてますし、色も大雑把になってきてます。仕方ないのですが、その儚さも味ってことなんでしょうか。
 
 
 
 次は富嶽百景。ご神体・木花咲耶姫さんの肖像から始まる百もの作品群は、富士伝説から変遷、当時の風俗との富士を描いた本なんですね。何にも知りませんわ、私。現物の本が展示されているのには驚きました。200年前のものがそこにあるんですもん。
 
 こちらはさらに色んな富士山が出てきます。
 

 
 自分の作品から引っ張ってきたみたいな、こちら。よく見たら、波の先から鳥が飛んでます。波から鳥が生まれるわけでもないんでしょうけど、楽しいですね。
 
 

 富士山が脇役なものもけっこうありました。「○○をしていて、富士山を見てる」みたいなのも多い(そりゃつい見るだろ、くらいに富士はグレート、って感じ)のですが、この絵は誰も見てなかったりします。暮らしに溶け込む富士山。
 


 この絵に至っては富士山がいません(笑)。雪で自分で作った富士山。そう思えば、富士は日本中に。いや、富士見町って町はたくさんありそうだし(広島にもあるぞ、どこ見てるのか)、近所の立派な山を「○○富士」とか言いますもんね。富士はいつでもあなたの胸の中に。
 


  胸の中ならキレイですが、おっさんの股ぐらからの富士です(笑)。おちょっくてんのかいな。
 


  画像は小さいですが、クモの巣につかまった富士(大笑)。北斎さんってのは、面白い人だったんでしょうねー。
 
 
 
 3時間居ましたが、とっても楽しかったです。浮世絵とか興味ありませんでしたが、面白いもんですね。自分の国の話なのでなじみやすいし。
 
 
 会場の外には子供さん向けのこんなものも。




  
 私もやってみました。大人でやってるのは私だけでしたが。
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