FC2ブログ

アンヴィル!  夢を諦めきれない男たち


 
 実在のヘビメタバンドを2年間追ったドキュメンタリー。
 
 ボーカル&ギターでバンドの顔リップスと、ドラムのロブは幼馴染。10代の前半から一緒に音を出してきて、80年代前半のヘビメタブームでは、名作アルバム「メタル・オン・メタル」が高い評価を受け、ミュージシャン仲間やその後のメタルバンドにも多くの影響を与え、今もリスペクトされています。
 
 ・・・が、売れませんでした。
 
 84年に日本で行われた野外フェスでも大歓声。リップスは大人のオモチャでギターをかき鳴らすお得意のギミックでバカ受け。
 
 ・・・が、ビッグネームになったのは彼ら以外のバンドたち。

 あれから30年近く経った今も、彼らは「アンヴィル」であることを辞めていませんでした。それで食えているわけではもちろんなく、近所で食品の配達などして生計を立てながらの細々としたバンド活動です。
 
 彼らにも養うべき家族があり、髪も薄くなりと、ステージの雄姿とは別の現実がそこにあります。
 
 それでも彼らは「アンヴィル」であることを辞めようとはしません。
 
 本業(?)の休暇を使っての「ヨーロッパツアー」では、ギャラの未払いや、電車に乗り遅れての野宿、自分たちがメインのロックフェスでたった140人程度しか客がこないなんて散々な目にあって(もちろん、利益なんてなかった)も、演奏さえすればそこにいる客は熱狂してくれます。
 
 そう。売れていなくたって、彼らは今もバンドとしての実力があるのです。
 
 名作アルバムを一緒につくったプロデューサーにアタリをつけ、再度組むことに。ただし、カネがいります。相手は成功者でプロなのですから。そして、同じプロとは言い難いリップスたちには、そのカネがありません。
 
 ここまでバンドを支えてくれてきたのは、少ないながらも確かにいるファンたち。それは間違いありません(事実、週末に近所のライブハウスでやるステージは満員で、80年代からのファンも少なくなく。ただ、それはバンドの現状での限界をも示すのですが)。
 
 それ以上に現実のアンヴィルを支えてくれているのは、彼らのファミリー。
 
 妻たちは地味な仕事を続け、リップスの姉がレコーディングの費用を用立てしてくれます。涙を流しながら、笑みとともに。
 
 これが華やかなステージの裏側での現実。リップスとロブも何度も険悪になり、(恐らくこれまでにも何度も繰り返されてきた)解散の危機も。
 
 自分たちの信念がなければ続けられない。でもそれだけじゃ、これまでと同じなんだ。
 カナダの不屈の金床、アンヴィル。再び、いやついに世に出られるか? ガキの頃の夢だけじゃもはや、もはやなくなってしまっている闘いに勝てるのか? 意地と実力と、みんなの暖かいハートを糧に!

 
 
 
 私はギターが好きで、聴く音楽もジャンルというよりは「ギターのかっこいいヤツ」ですから、ジャズを聴く一方でヘビメタも大好きです。
 
 80年代前半のヘビメタブームの頃に中学~高校と、この映画に出てくる「アンヴィル以外の売れたバンド」もよく聴きましたし、今でも聴いてます。アンヴィルも雑誌ではけっこう取り上げられていましたが、メジャーではなかったんですね。リップスもギターヒーローとしては扱われなくて。
 
 それにしても、ギブアップしないのは凄いの一言。先日、「レスラー」を見ましたが、華やかな職場と現実のギャップという点は同じものの、現実を拒否する「レスラー」と異なり、アンヴィルはリアルです。
 実話だから当然、というのではなく、ショボイ現実の中であがき続けるそのファイト。そして、第一線にしがみつけるだけの実力をキープし続けていること。映画には登場しませんが、アイデアと演奏技術を高め続けるトレーニングに割いている時間は相当なものではないか、と思って見ていました。
 
 この映画、オトコが笑って泣く、といろんなサイトに書いてあります。笑う、とは、前半の「ヨーロッパツアー」での数々の情けない出来事のことらしいのですが、私は笑えませんでした。
 
 敗者復活戦は常に厳しく、傍目には滑稽なのですから。それを開き直って、バカになりきって戦えるヤツこそが次に進めると思っているので。

 一番泣けたのは、アンヴィルの再浮上ももちろんですが、妻や姉たちのインタビュー。辛さに涙がこぼれながらも、笑顔をつくって応じる姿。きっと、これが30年続いているのでしょう。これは泣けました。ぼろぼろと。
 
 このジャンルの音楽に興味のない人も、女性も見て損はないと思います。「ファミリー」の映画です。 2年の撮影期間でありながら、80分少々と短い(ホントに短い)のもイイ。
 
 アンヴィル、オレも頑張るぜ。アディオス。
関連記事
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント