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上村松園~理想の女性像を求めて~/奥田元宋・小由女美術館


 凛としてたおやかな美人画、上村松園さん。って、絵を見るようになるまで全然知りませんでしたが。
 
 東京、広島といくつか美術館通ってるうちに、なんか印象に残ってきて。
 
 指先とか、眼差しとか、ふと振り返る身のこなしとかが、とても優美です。背景は大抵描いてないので、余計に惹き立ちます。って、そうしたいから、描いてないんでしょうね。失礼しました。素人丸出しですが。
 
  
 先週の休日、広島市内から車で1時間半くらいの県北部の三次(みよし)市にある「奥田玄宗・小由女美術館」での回顧展に行ってきました。


 
 いくつかの美術館で所蔵してあったものをちょいちょい見た程度なので、この人のみの展示があれば行ってみたいなと思ってましたが、広島で見られるとはありがたい。
 
 
 
 ポスターにもなっている代表作。晩年の作品とのことですが、鼓の稽古に集中している令嬢の指先まで張りつめた感じ。着物も艶やか。
 
 
 一通り見て気が付きましたが、男性は全く描かれておりません(赤ん坊、幼児以外)。







 
・きれいな女の人が歩いていて、ふと何かに目を留める
・きれいな女の人が物憂げにしている
・きれいな女の人が子供と何かしている
・きれいな女の人が一心に何かしている
等々・・・

 本当にどれもこれもきれいな女の人ばかりで、うっとりですわ。
 
 



  かと思ったら、これはインパクトありました。「花がたみ」なる作品。謡曲を題材にとった作品だそうですが、急遽皇位を継ぐことになった皇子が、最愛の女性にやむなく別れを告げて渡した花かご。悲嘆にくれた女性はやがて精神に変調をきたします。帝となった彼が従者を伴っての紅葉狩りの前に現れて舞う狂女は、かつての恋人。思い出の花かごが全てを悟らせ、やがて二人は元サヤに・・・。
 
 父・姉と行ったのですが、能の師匠であった父から、世阿弥作のこの作品を教えてもらった次第。この年になっても色んな発見があるなぁ。
 
 それにしても、この作品。タテは2メートルは超えてるのではというくらいの大作。なんでも、松園さんは地元関西の病院を訪ねて、精神に変調をきたした人たちの表情を学んだそうです。その無表情さと能面との関連を思い立って、作品にしていったとか。


 

 他の作品の美女とはやや異なる、その雰囲気。着物はやや乱れ、地には折れた扇子。幸福とも不幸ともつかぬ眼差し。
 
 
 上村松園さん、明治のお生まれなので、女性が画家としてやっていくには厳しかったんだろうなってぼんやり思ってたのですが、後でネット見たら(行く前に見ろ)ホント大変だったそうです。
 
 息子さんの絵も多かったのですが、お父さんは明らかにされていないこと、40代の頃に年下の青年に大失恋をしたことなど。
 
 あー、以前見に行ったヘレン・シャルフベックさんも似た感じでした。そう言えば、ヘレンさんも男性を描いた作品が少なかったなー。
  
 苦しい時代にあって名を、作品を残されたことは今からのほほんと想像する以上に、更にそれ以上に大変なことだったのでしょう。それこそ、人の数回分生きたくらいの。 
 
 「美人画」とは言うものの、そもそも女性が自由に生きることすらままならなかった時代の女性たちが描かれているわけです。思い返すと、物憂げな女の人も、歩きながらふと何かに目を留めた女の人も、子供と過ごす(それが役割とされていた)女の人も、何か鬱屈を抱えている人物に思えてきます。
 
 いや、きっとそうなのでしょう。画家本人の憂さと抗いと。
 
 
 
 見に行って良かったです。ホント。
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コメント

非公開コメント

No title

素晴らしい解決付きで、とても興味深く読ませて頂きました。

美術館巡りもかなりレベルアップされてますね!!

No title

こんばんは、上村松園すごく繊細で美しい絵ばかりですよね。
女性の立場は今よりもかなり不自由だったでしょうし、いろんな思いも抱えていたんでしょうね。初めて気づきました。
ここ数年はそれどころではなかったし、近くになかったのでずいぶん美術館いってないけど私も行ってみたくなりました(*´∀`*)

No title

お父様、能の師匠だったんですか??すごいですね(°◇°;)

No title

TOMYさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

まー、私がそう思っただけなので(笑)。いいとかうまいとか、全然わかんないんですよ。好きかどうかだけですわ。

たまに一緒に来てる人にウンチクかましてる年配男性、痛い痛い。

No title

ローズマリーさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

「美人画」とかよくひとまとめで紹介されてますが、上村松園さんってなんかプレミアムっすよね。私だけ?

なんか、みんな凛としててカッコイイなぁ。男性には絶対出せないカッコよさ。しなやかで。

この回顧展ではなかった(残念)のですが、嫉妬に身を焼く女性を描いた「焔」ってのが凄まじい迫力で、いつか見てみたいなぁ。でもその晩は眠れないかも。

No title

あ、「能の師匠」って言っても、アマチュアですよ。アマチュア。でも。そこそこの顔だったみたい。

現実離れしてますよね、家で能唸ってるんですから。