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プリンセス・トヨトミ


 
 それは、大阪に住む人たちだけが知っている秘密。
 
 400年前に根絶やしになったはずの豊臣家の子孫は密かに命脈を保ち、大阪の人たちすべてがそれを見守り続けていることを。
 
 そのために、「大阪国」なる独立国家が存在し、もしも豊臣家の子孫に事あらば、「大阪国総理大臣」命で、大阪の人々が「立ち上がる」ことを・・・。
 

 松平は、内閣からも独立している経済警察「会計検査院」のエース。内閣さえ対等、という会計検査院を体現するかの如く、徹底した理詰めの調査と一切の不正を許さない「鬼」の異名を持つ男。
 
 今回は大阪での監査。若い部下二人を連れて、新幹線に乗り込みます。
 
 厳しく、かつ順調に仕事は進み、次の監査先のは古びた小さな建物に。
 
 「・・・OJO・・・?」。耳慣れない名前は「大阪城趾整備機構」の略称とのこと。毎年5億の補助金を得ている団体にしてはひなびた感じでしたが、帳簿に不審な点もなく、監査はすぐに終わりました。
 
 OJOの向かいにあるお好み焼き屋「太閤」で昼食をとっている最中、忘れ物に気づいた松平がOJOに戻ると、事務所は無人になっており、電話線もつながっておらず引き出しもカラッポ。
 
 ・・・何か怪しい。再調査をかけるものの、OJOは慇懃かつ油断ならない態度でボロを出しません。
 
 「もうやめましょうよ。これでもおかしければ、大阪中の人が口裏を合わせていることになりますよ」と、ボヤく部下。 ・・・そうか。それが合理的だ・・・。だが、なぜ・・・?
 
 三たびOJOに乗り込む松平に、一転気色ばむ職員。松平は「鬼」の異名通り、一歩も引きません。
 
 「さすがは松平はんや。よう、ここまで辿りつきはった」。いつの間にか「太閤」の店主が。「ご案内しましょ」・・・OJO職員を制して彼が松平を通したのは、大阪城の真下に繋がる豪奢な地下通路。そして、現在の「大阪国総理大臣」である店主から明かされる「大阪国」の秘密。
 
 バカな! 税金の使途に、こんなことがあっていいはずがない! 怒る松平。店主は発足直後に困窮していた明治政府への用立ての見返りに国が秘密裏に承認している事実を告げますが、松平は退きません。
 
 不正を憎む「理」の男と、「歴史と情」を背負った男が相対し、やがて大阪国が「立ち上がり」ます・・・。
 
 
 
 これは面白かった!です。 いや、面白かった。泣いちゃいましたし。
 
 テンポよく進むお話に、大阪の人たちの活気。すっぱりと「立ち上がった」とき、理屈ぬきのあっけらかんさにまず泣けてしまいました。
 
 大阪国の本当の秘密はクライマックスで明らかにされるのですが、続いていくこと、それに参加すること=最も身近な人とから関っていくことで、みんなが繋がり続けていることの素敵さにも泣けました。
 
 こればっかり言ってるような気もしますが、絆キズナとテレビなんかで散々言ってたくせに、もう震災から目をそらしているような風潮、いやそれはテレビ屋の態度だけなのかもしれませんが、その軽薄さに比べて、なんと地味で地に足のついた、「大阪国」であることよ。
 
 歴史は大きく、関われる個人は限られているとしても、それを紡ぐのはひとりひとりという視点の、とっても暖かいお話でした。

 面白かったです。
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