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ロング・グッドバイ


 
 私立探偵、フィリップ・マーロウは独り者だ。いや、猫と暮らしているのだが、これがなかなかわがままなヤツだ。
 
 今夜も腹が減ったとせがみ、夜中だというのに買ってきたキャットフードが好みのブランドでないことを見破って、見向きもしない。
 
 気紛れな女のように。

 そんな夜中に友人のテリーがやってきた。ワケがあって、空港まで送ってほしいと。そう、ワケは聞かない。テリーがそう言った、それで充分だ。

 送り届けると、警察がやってきた。テリーの居場所を聞いてくる。
 
 教えてやる理由は、ない。連行され、殴られ、コーヒーをぶっかけられて留置場にブチ込まれたけれど、教えてやる理由など、ない。
 
 事件は、テリーの死で解決していた。その前に彼自身が妻を殺していたというスキャンダルも添えて。

 テリーは、そんなことをするヤツじゃない。何かあるんだ。

 新しい依頼人が来た。美しい女アイリーン。 夫でアル中の作家、ロジャーを探してほしい、と。

 アル中患者を強制収容している怪しげな病院に彼はいた。熊のような大男。気はよさそうだ。そして、この夫婦はテリーとその妻を知っていると言う。
 
 ただし、二人がテリーとその妻を語る言葉は少しづつ違うニュアンスで。
 
 テリーは死んだはずなのに、マーロウの周りからテリーの影が離れない。警察に連れて行かれ、依頼人夫妻のトラブルに巻き込まれ(依頼外のはずだ)、ギャングにも襲われた。
 
 テリー、オレはお前を今でも友達だと思っているよ。お前は、まだどこかにいるのか・・・?
 
 
 
 
 
 異色のフィリップ・マーロウ像です。コートは着ていませんし、ボクサーのようなタフガイでもありません。どんなピンチにもジョークを飛ばします。
 
 が、タバコを離さず、開店直後のバーに出かけ、彼に興味を持つ女は少なくなく、友情に厚く、そして何ものからも逃げません。

 ラストも原作とは違います(ちょっと驚いた終わり方でした)。

 でも、私はこれもフィリップ・マーロウだと受け入れます。
 
 孤独であり、彼自身の掟に従い、そして死ぬであろうスタイルで。

 「小説を映画化」した作品は、見た人の数だけ違和感があるのかもしれません。登場人物の姿、声、佇まいを誰もが自分の好みで描くでしょうから。
 
 マーロウとは、どんな男なのか? この映画のマーロウは、私にとっては確かにマーロウでした。ロバート・ミッチャムがそうであったように。
 
 私には、それで充分。他になにかあるかい?
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コメント

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No title

おおっ!
何とラストが違うとは!
これは未見なのですが、俄然、興味が出てきましたね(元々、チャンドラーは大好きですし)。
いや、ラスト以外もですが。
流石、作品の魅力を伝えるのが上手い。
凹。

No title

悪人さん、こんにちわ。いつもコメントありがとうございます。

やっぱ、悪人さんもチャンドラー好きかな、と思ってました。うれしいなぁ。本作のマーロウを演じたエリオット・グールドさんは、ルパン3世やってもいいかもしれません(笑)。