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男たちの挽歌


 
 ホーは、ある香港マフィアの若頭。なかなかのダンディぶりだが、シャイなイイ男だ。相棒のマークは陽気な
ヤツ。誰とでも打ち解け、邪気のない笑顔は少年のよう。
 
 だけど、二人はマフィア、だ。「善良な市民」なんかじゃ、ないのだ。いや、善良な市民を踏みつけてこそのダンディな服、高級車。
 
 主にニセ札が商売道具だが、漢の重さで勝負が決まるのは、洋の東西を問わない。駆け出しの頃は、台湾の親分を怒らせて強要されたションベンの一気飲みをホーが体張って漢を見せたっけ。 怯んだら、そこで終わりなんだ。ハッタリっていうのとも、ちょっと違うんだ。わかるだろ?
 
 ホーには、なぜか、マフィアの匂いが薄いような気がする。「ここでしか生きられない」って感じが薄いとでも言うのか。いや、それはマフィアとしてのホーの優秀さを疑わせるものじゃないんだ。他でも成功できるって、言うのか、何か切羽詰った感じがしないと言うのか(マークはそうじゃない)。
 
 それは、ヒトへのやさしさ、なのかもしれない。切った張ったの世界で、一瞬だけでも相手の命を奪う前のためらい。いや、それはヒキガネにかけた指に力を込める前のほんのコンマ数秒に、相手の人生を思ってしまうような種類の優しさ、とでも言うのか。
 
 見習いのシンを連れ、ホーは台湾に飛んだが、現地の取引相手に裏切られ取り囲んだ警官隊に自首を選ぶハメに。
 
 経験不足のシンを逃がしたかったのと、父一人で育ててくれた兄弟のキッドが警官になるから。血のつながりも大切だけれど、若い連中の未来を護りたかったから。
 
 辛い服役。出所して足を洗いたくったって、こんな経歴のオトコを誰も信じちゃくれない。ちくしょう、わかってたつもりだったけど、辛いよな。相棒のマークは、ホーのケジメをとるために単身台湾に乗り込んで(なんて無鉄砲な!)、連中を皆殺しにした代わりに足を一本くれてやったってのに。
 
 だけど、シンよ。いくらホーがいなくなったからって、そんなマークを舎弟以下の扱いでボス気取り(実際、
後半ではボスを射殺)はないだろう。
 
 そしてキッド。そりゃ、知らなかったら無理もないよ。だけど、今のオマエの暮らしはホーの献身の上だぜ。
わかりゃしないだろうが。それでも、せめて憎むのはやめてくれないか?ちょっとだけでも立ち止まって、ホー
の気持ちを察してくれないか? いくら若いったって、オマエももう大人だろ?

 情なんて、所詮、アウトローの世界にしかないのかい? ホーは、そして、マークも、キッドも「Better Tommorow(原題)」を願っているだけなのに・・・。
 
 状況は変わった。もう、仁義は通らないルールになったらしい。
 
 そんなことは、もうどうでもいい。オレが漢か、そうじゃないか、だけなんだ。今までもそうやってきたんだ。
 
 ホー、マーク、キッド(彼の意思に関わらず)、漢を立て、漢に殉ずる夜が、すぐそこに来ています・・・・。

 私は映画ファンではありません。なんだか、毎週映画の映画の話を書いてはいますが、手軽な娯楽として見ているだけで、映画ファンでありません。
 
 だから、この映画も見たことがありませんでした。名前は知っていましたし、香港映画の評価を一変させたメルクマールであったことも知ってはいましたが、見たのは初めてです。
 
 男くささを売りものにした、昔のテレビドラマや映画みたいでした。
 
 それは、私に心地よいものでした。
 
 出てきた男たちは、悪役も含めて素敵でした。漢とは、損ができるヤツのことと、個人的には思っています。それは性別関係なく。そして、実生活でもできるだけそうありたいと思う自分にとって、この映画がキライなはずがない。
 
 原題もイイ。そう、むやみに死ぬことはないのだ。護るものがあるのなら。
 
 
 以上。
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