FC2ブログ

板尾創路の脱獄王



太平洋戦争末期の、ある真夜中。
 
 豪雨とサーチライトの中、監獄の屋上に仁王立ちする男、鈴木。
 
 十二年前、元々は無銭飲食という微罪で拘置所に送られただけであったにも関わらず、脱獄を繰り返す。繰り返す。繰り返す。
 
 その回数は既に十数回に達し、ほとんどが収監後三分から数日の内で実行されたもの。胸に逆さに彫られた刺青から「逆さ富士の脱獄王」として、トリックスター的人気を博す一方、警吏らの憎悪を浴び、最も監視(&看守たちからの暴行)の厳しい「特殊鎮静房」へ。
 

それさえも「脱けた」。

鈴木が初めて入った刑務所。その全くの無表情さに目をとめる看守長・金村を尻目に、収監からわずか六十分以内での脱獄。
 
 実はクリスチャンの金村は、本編で唯一、囚人を人間として見ている人物。責任を感じた彼は向こう一年の休暇を返上し鈴木を見守るが、鈴木の表情はまったく変わらない。
 
 一年ぶりの金村の休暇。家族のもとへ帰った彼のいない刑務所を「脱ける」鈴木。
 
 しかし、脱獄を繰り返すということは、同じだけ捕まったということ。いかなる過酷な状況でも脱獄する能力と意志を持ちながら、なぜか毎回線路を走っているところを取り押さえられる鈴木。
 
 金村は、それが不思議でならない。
 
 取り押さえ、怒りにまかせて暴行を加える部下たちを制しながらも、立場上ふるう鉄拳。「オマエは、いったい何から逃げているんだ?」
 
 だが、鈴木の沈黙は解けない。
 
 やがて司法省に栄転した金村だが、鈴木の脱獄を耳にするたびに表情は曇る。
 
 ついに鈴木は、戸籍抹殺・脱出不能の監獄島に送られる。「見とどける」と、追う金村。
謎は、解けるのか・・・?

 
 
 これは、面白かった!
 
 オンエア可能な特殊芸人、板尾創路の原案・脚本・監督・主演の一本です。ドキュメンタリーかと見紛う仕上がりの緊迫感。役者さんも音もセットも、そしてCGもイイ。
 
 あ、暴行を受けてのうめき声以外、とうとう一言もしゃべらない主演・板尾のたたずまいも。そして、金村そのものの國村隼も。ぼんちおさむの明るいサディストぶりもよかったなぁ。
 
 ネットでは酷評している人も少なくないですが、私はとっても楽しめました。
 
 ネタバレっていうんですか? 何かは書けませんが、常に違和感を漂わせる板尾そのものの結末です。見ている我々、全ての出演者が騙されます。やるぜ、板尾。いい感じに酔いがまわった深夜のリビングで拍手しました。
 
 ありがとう、板尾。
関連記事
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント