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サン・ジャックへの道

サンジャックへの道

「本日お集まりいただいたのは、あなた方のお母様の遺言をお伝えすることです・・・。遺産170万ユーロは既に故人のご遺志で慈善団体に寄付されております。・・・しかしあなた方ご兄弟3人がスペインのサンジャック(サンティアゴ)までの1500キロ2ヶ月の徒歩巡礼を同宿して終えられれば寄付は破棄となり、皆様に均等に相続されます」

 ・・・集まった3人とは、50代の兄妹&弟。子供の頃から強烈な不仲で、今も口を開くと罵り合い、掴み合い。今一緒にいるだけでも険悪なのに、2ヶ月も過ごせと?しかも徒歩巡礼?冗談じゃないぜ、んぁぁ!?

 
 さんざん悪態つきながらも結局行くことになった事情と人柄はこのとおり。

長男ピエール→会社社長。超ワンマンで人望ゼロ。妻はアル中&自殺願望で自身のメンタルもギリギリ
長女クララ→高校の国語教師。ガタイがよくて超攻撃的。ダンナさん失業中でカネが必要
次男クロード→不仲に嫌気がさして16才で家出も終生無職のヒモ暮らし&アル中

 こいつらだけで巡礼ができるはずもなく、弁護士から指定された専門のガイドについて歩くツアーに参加です。

ガイド含めた参加者はこちら
ギイ→ガイド。40代くらいの南米系男性。人当りよく責任感ある頼もしい男。たぶん本編で一番マトモな人物
マチルダ→40代くらいの女性。離婚し、癌からの恢復直後。髪の毛のない頭をスカーフで常に覆う
カミユ→金持ち女子高生。叔父からこのツアーを「プレゼント」され仕方なく参加
エルザ→金持ち女子高生。カミユの友達で仕方なく参加
サイッド→アラブ系男子高校生。カミユに惚れてて、友人ラムジィをイスラムの巡礼と騙し、その母から参加費をひっぱる
ラムジィ→アラブ系男子高校生。二人暮らしの母思い。気の毒に教育機会に恵まれずほぼ文盲。心はめっちゃピュア

 真面目そうなマチルダはともかく、他の連中の動機は不純or希薄です (´・ω・`)。
 
 何しろ2ヶ月前後1500キロ(本州の長さだぜ)をピレネー山脈超えてひたすら歩くこの巡礼。そんな性根でやれるはずがありません。さっそくピエール対クララのいい年した大人の大ゲンカ。文無しのクロードは何の準備もせず街着で歩き、人にたかります。雰囲気は最悪。頼れる男・ギイだって悩みはありました。長く家をあけるこの稼業、妻は浮気し子供は熱出しても、どうにもできません。
サンジャックへの道00
 
 それでも携帯電話が通じなくなるほど奥まで進む頃、次第に浮世と離れてみんな自分を省み始め、少しづつ打ち解け態度も変わってきます。
 
 ピエールは独善が薄らぎ、クララはラムジィに読み書きを教え、クロードはマチルダとねんごろになり(おい)・・・。高校生たちも真面目に歩き、ともにゴールを目指すいい雰囲気が生まれはじめます。
サンジャックへの道01
 
 
 フランス国境を過ぎるとき、ギイが3兄妹にあらたまってこう告げます。
「あなたたち3人の旅はここで終わりです。実はここに着いた時点でお母様の遺言の要件を満たすのです。さぁ、引き返してフランスにお戻りください」

 1人踵を返すピエール。クララはラムジィ、クロードはマチルダと名残を惜しみますが、すぐにフランス方向に。おいおい、これでいいんか?あんたら!?
 

 突如振り向き、巡礼仲間を追いかける長男・ピエール。おー、そうこなくっちゃ!驚く二人。止めるクロードにピエールは怒鳴ります。
「俺は続ける!好きにさせてくれ! 生まれて初めて無心に何かをしようとしているんだから!! ・・・クロード、オマエはいいよ!みんなから愛されて、女の扱いもうまい。これ以上何を望むんだ!俺には生きる権利もないのか!」

 やがて、クララとクロードもピエールに続きます。

 再び合流する彼らを歓声で迎える巡礼一行。家族となりつつある彼らを残り800キロの果てに待つものは・・・・。
サンジャックへの道02

 事情を抱えた複数の人たちが旅をした結果、優しいゴールに辿り着くという映画はたくさんあるように思います。そして、この映画は素敵なハッピーエンド。いいんです、それで。そういうのが見たくて見たんですから。

 いつかNHKのドキュメンタリーで北海道で2〜3日ほどかけてひたすら歩いて自分を見つめ直すっていう内容のものを見ました。そのためだけに一年がかりで畑や山に道をつくって。

 そんだけのことでもやらないと「自分を見つめる」ってなかなかできないもんですね。非日常と、自分を隠しきれないくらいの追い詰められ方でもないと。

 実際にこれに近いことって難しいですが、なんとか自分の胸の中に非日常をつくれないものか。自分を隠さないような心根をつくれないものか。

 画面がホントにキレイな映画なので見とれてましたが、見終わってそんなことばかり考えていました。

 登場人物みんなが素敵に変わった、素晴らしいハッピーエンドだったので。


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コメント

非公開コメント

No title

こう言う映画は心が洗われますね。
ハッピーエンドで終わるものが大好きです。(^_−)−☆

ミコリーさん

ミコリーさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

フランス映画はシニカルな風味のものも少なくないですが、この映画は包容力というか肯定的というか、優しい目線の温かい映画でした。有名な女性監督さんだそうですが、よく知らなくて(´・ω・`)。

ハッピーエンドって、たまにキマらないこともあるような気もしますが、これは素敵でした。特に字の読めなかったピュアな男の子ときたら・・・。