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散歩する侵略者

散歩する侵略者 
「一体、どこで何をしてたの!?」
「・・・加瀬鳴海さん、質問が曖昧すぎてわかりません」

 3日間行方不明になっていた真治は、全く別人のようになって現れました。記憶も感情も失くしたように妻の鳴海に他人行儀に接し、言葉の意味も相当忘れているようで会話も成り立ちません。お手上げの医者は様子を見ましょうというばかり。

「僕は真治だけど宇宙人なんだよ。地球を侵略するために調査をしているんだ」
「何言ってんのよ!宇宙人でも真治だって言うのなら、昔みたいな優しかった真治になってよ!」

 病院帰りのクルマでしれっと話す真治。二人暮らしの若夫婦ながら、真治の浮気で離婚寸前だった鳴海のイライラは募るばかりです。にも関わらず真治は会社も辞め、「散歩」と言っては近所をぶらつくばかり。


 真治は歩きます。タブーはありません。

「おい、なんで俺の家に勝手に入ろうとしてるんだよ!」
「俺の家・・・。俺は俺だから、俺の家は俺の家だ」
「何言ってんだ!あんたにはあんたの家があるだろ?ここは俺の家なんだ」
「・・・そうか。この場合、その”の”が大事なんだな。・・・それを”もらう”よ」

 相手の額を指差す真治。崩れ落ちる相手。納得顔で立ち去る真治の一方、相手は所有という概念を失ってしまいます。

 真治は宇宙人なのです。正確には、宇宙人に乗っ取られたのです。彼を含めて3人の宇宙人がこの町のあちこちで「調査」を始めたのです。

 それは地球人を理解するために、人々から「概念」を奪うこと。所有、家族、お金、仕事・・・。彼らから概念を奪われた人は、どこかおかしくなっていきます。お金の概念をなくした銀行員、家族の概念をなくした妹、仕事の概念をなくした社長・・・。

 町が少しづつ狂っていく一方、地球人理解は着々と進んで侵略開始も秒読みとなっていきます。

 が、鳴海は幸福を感じ始めていました。当初の不自然さがなくなってきた真治は、確かに「昔みたいに優しかった真治」になってきたからです。鳴海の料理を褒め、新婚の頃のエピソードに触れ、何より彼女を「信頼できるパートナー」と呼ぶ真治に。


 地球人理解が終わったのか、宇宙人の侵略が本当に始まりました。再び愛した真治を失うまいと手を取って逃げる鳴海は彼に告げます。地球人理解はまだ終わっていないことを。彼らの知らない「愛」という概念がまだ残っていることを・・・。




 去年の秋に広島の劇団の公演で見ましたら、すっごく良くて。ラスト泣きましたもん、おっさんなのに。


 映画版を見ましたが、私としては舞台の方が圧倒的によかったなぁ。好みですけれど。生身の人間が目の前で演じる迫力はすごかったです。

 元々は東京の劇団の看板作とか。見たいけど、9800円のDVDはもうちょっと値段こなれないかなー。

 映画版、得体の知れない宇宙人を演じる松田龍平さん(優作のせがれはどっちもいいなぁ)、孤軍奮闘する奥さんを演じる長澤まさみさんがとってもよかったです。

 でも舞台見ちゃったからなぁ。映画版だけでもけっこう面白いとは思うのですが。舞台のラストの方が好きなのに。まぁ私の好みに合わせて作るわけないか。

 やっぱオリジナルの舞台DVD、買おうかな。


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