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不思議惑星キン・ザ・ザ

キンザザ06

 ・・・「え?」・・・・・。

 街角で会った「宇宙人」と自称する得体の知れない男が持っている「テレポート装置」とやらのボタンを押したら、次の瞬間、ウラジミールは砂漠に立っていました。


 わけわからん。


 そもそもは、妻から促されてマカロニを買いに出た時のこと。街角でバイオリンケースを持った青年から「宇宙人だって言ってる人がいて困ってる」と声をかけられました。

 初秋のロシアなのに、その自称・宇宙人なる男は裸足。

「すまない、自分の星に帰れなくなってしまったんだ。この星のコードはなんだ?それさえわかれば、このテレポート装置ですぐに帰るから」
・・・おいおい、なんだこイカれた野郎は?ここはロシアだぜ。怪しいやつは警官がすぐにしょっぴくぞ。俺はマカロニ買いに行かなきゃいけないんだよ。
「わかった、わかった。そのテレポート装置とやらが本当に動くのか、俺がボタンを押してやるよ」

 ・・・「え?」・・・・・。


 見渡せば一面の砂漠。自称・宇宙人はいなくて、バイオリンケースの兄ちゃんと自分だけ。・・・ところで、ここどこ?
キンザザ03


 息もできるし、体も動く。異星とは思いたくないし、ここは地球でロシア国内ってことにして、とりあえず二人で西を目指そう。しかし、なんて目にあったんだ。

 空のかなたから、なんか飛んできました。手作り感というか、ちっともかっこよくない妙な乗り物からみすぼらしい身なりの男が二人降りてきて、ヘンなポーズで「クー!」と声あげ愛想笑いしてきます。

キンザザ05
 こんな感じ

 怪しすぎる。

 観光客のフリして「町まで送って」と頼んだけど要領を得ません。着ているものを運賃がわり(のつもりで)渡したら、また変な乗り物であっさり飛び去ってしまいました。

 わけわからん。

 失望したような青年の視線が痛くてマッチでタバコに火をつけたら、さっきの変な乗り物が空から戻ってきました。「乗れ乗れ」とばかりに。

 どうも、ここはやっぱり他の星みたい。連中は他人の思考が読めるそうで、こっちに合わせてロシア語まで使える見かけによらぬ頭の良さ。あ、だから自分ら同士は「クー」に感情込めるだけで会話すませてんのか。

 マッチはものすごい価値があるらしく、後払いで地球まで送ってけって交渉成立!

 それにしても、マッチ目当ての異星人、見た目はみんな変わんないけど階級差別がきついみたいだし、やたらと威張ってる警官がうようよ。人々は独裁者に奴隷のようにこき使われてるっぽいディストピア。

 金もないから大道芸までやりながら地球帰還を目指す苦難のストーリーが、間の抜けたBGMをバックに妙な雰囲気の中、始まりました・・・。


 全然知らない映画だったんですが、ツタヤで面白そうと借りてみました。ソ連製ってことすら知らず。
 
 1986年の映画ですから、ゴルバチョフ登場の翌年〜チェルノブイリ事故の年〜ソ連崩壊5年前でしょうか。ソ連製SFって「惑星ソラリス」しか見たことないけど、もう国民が共産主義を信じてない頃ですから比べようもありません。

 画面はすごいヘンで、真面目な顔してヘンテコなことやってるシーンの連続です。でも、えげつない階級差別、賄賂と暴力で普通の人をいじめながら実はからっきし弱い警官、崇拝されてる独裁者はお飾りで頭カラッポ等々、社会批判(それは自分がすんでる共産国家)そのもの。

 見てて、時々思い出すのが「共産圏で作られた」ってヤバさです。いかにヘンテコな内容でも映画を取り巻く状況は血も涙もない監視&暴力社会なわけですから、警官やっつけたり独裁者を笑ったりってシーン見ててすごく怖くて。命がけというか、死ぬのを覚悟しないとこんな映画つくれなかっただろうって。

 何度も繰り返しハマりそうなこの映画、カルトSFとしても有名ということも知りませんでした。

 2回見たわ、とりあえず。
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コメント

非公開コメント

No title

へぇ~~~思想統制や規制があったソ連の映画なんですか??
それだけでも価値はありそうだけど・・・
でもあらすじだけでもおかしいですね。笑

ミコリーさん

ミコリーさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

見てたら普通の洋画って感じで、ソ連とか全然感じないのですが、「いや、これソ連映画だろ」とか思うとすごい怖いです。階級・独裁・警察の社会に放り込まれた(ユーモラスに描いてますが)主人公たちは、共産圏を旅する西側の人なのかも。