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追悼のざわめき

追悼のざわめきポスター

 世の中のすべてを憎む男は、廃ビルの屋上で暮らしていた。愛するマネキン人形と二人で。男は、マネキンへの愛情を形にしたかった。子供を授かり、ともに暮らす家を持ち。

 そして手掛けたことは、見ず知らずの女性たちを次々と殺してその体の一部をマネキンに埋め込むことと、マッチ棒でつくった小さな小さな家。

 やがて、マネキンの中に胎児が宿った。

 
 女性の下半身を連想させる切り株を引きずって徘徊する浮浪者に残っていたのは、食欲と性欲のみだった。神社のお供え物をくすねては腹を満たす彼は、廃ビルの屋上に横たわるマネキンを見つけて・・・。


 小人症の兄妹は、地下で下水路を清掃する仕事を営んでいた。世間の誰からも関心を払われない二人は、異性に触れる機会も限られると考えた母の遺言で、年に一度、妹の誕生日に交わるのだ。


 頼る人もない未成年の兄妹は、どこにも行き場がなかった。幼い妹に客をとらせ、日々を食いつなぐ。二人は何も話さなかったが互いにだけ心を許していた。


 男は小人症の兄妹の下で働きはじめ、小人症の妹は男に好意を抱く。が、それは拒絶された。耳を覆いたくなる罵詈雑言と、彼の子を宿している女がいるという告白によって。


 未成年の兄妹は街をさまよった末に廃ビルの屋上に着き、胎児を宿したマネキンを見る。母性に触れるかのように目を閉じてその腹を撫でる妹の姿に、兄は突然欲情し・・・。


 一方、小人症の妹は小人症の兄を殺めた。そして男の住んでいるはずの廃ビルの屋上に向かい、浮浪者とマネキンを・・・。

 それは、誰も知らないうちに男が命を落としている間のできごとだった。


 「普通の」社会に入れてもらえない者、または差別されている者、その愛情を受け入れ得る数少ない者。そこに絡み合う愛憎の濃さ、やるせなさが正視に耐えない情景となって現出する。

 こちら側に居ながら目を背けることは不実、なのか・・・?





 こういう映画があることをつい先日まで知りませんでした。何か面白い映画はないかな(そもそもよく知らないし)とネットを眺めていたら、自分がこれまで見た映画には「カルト映画」と呼ばれているものがちょいちょいあるみたいだったので、他にどんなんがあるか探してて出てきたのがこれです。

 ネットであらすじとか読んでもよくわからないし、超問題作とかいう評価もあるけど、まさか近所のレンタル屋さんに置いてあるとは。なくなる前に借りてみました。

 これが、最初の10分で見るのやめようかと思いましたわ(´・ω・`)。BGMもほとんどない中での、目を覆う(実際覆った)グロテスクなシーンの連続。カラーより怖いかも。

 「これはめっちゃダークなファンタジーなんだ」と思い直して、残虐&グロテスクなシーンは何かの比喩、幻想と捉えることにしたら、2時間半の長さを感じずに最後まで乗り切れた次第。そして、時折流れる音楽はものすごく美しく。

 ストーリーや辻褄がどうたらって言う映画でもないじゃろ、と自分にもある残酷さや冷淡さ、差別意識がこういう形で表現されてるのだと、脈絡も疑わしいシーン各々を居心地悪く味わいました。

 ネットで見たら、イケメン俳優の斎藤工さんがおすすめ映画としてテレビで取り上げてたそうです。創作に携わる人が無視できない何かがあるのでしょう。

 グロすぎて(露骨な描写は意外に少なかったけど、メシ食いながらは絶対ムリ)とても感情移入はできず、手でも突っ込まれて内臓掻き回されてるような気持ち悪さ。その一方での物哀しいような美しいような叙情も感じました。

 望んだわけもなく居場所がほとんどないような彼らの止むにやまれぬ衝動は、ああいった行為以外に何ができるのかと思うと、切なくて苦しくて。

 非常に変わった映画でしたが、見てよかった。それにしても、ここまで表現してもまだ世間は許すんだ。そこにもびっくり。

追悼のざわめき04
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