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ありがとう、永川

永川04

 永川の笑顔を見た記憶はあまりありませんでした。

 苦しかった時期のリリーフエースは、主戦場が狭い狭い旧市民球場。そこで勝率4割前後の万年Bクラスチームの数少ない勝ち星を背負っての登板がどれほどきつい仕事だったか。

 永川が愛されたひとつに「地元出身」「自分からカープを選んでくれた」があると思っています。

 地元出身は梵と同じ三次(みよし)。二人で弱いカープを支えてくれてたっけ。ホントにホントに弱かったカープに、自分から入ってくれる選手はホント貴重でした。その数年前に同じ三次出身(しかも広陵)の二岡が土壇場で讀賣を選んだだけに。

永川02
 アツのサヨナラヒットの後、若いナインからいじられてたんですね。ラジオじゃわからなかった。

 豪速球と球界屈指のフォークボールを持っていたがためか、キャッチャーは常に体で止めてアザだらけだったと2死3塁でフォークを要求して体を張って三振を取らせた石原を、ラジオ解説の安仁屋御大は無謀と言いつつ絶賛してました。

 永川の唯一最大の弱点は、四球の多さ(´・ω・`)と言うか、コントロールの難。先頭を四球で出し、送られ、暴投で大ピンチはザラにあったような印象です。

 それでも旧市民の頃は全盛期で防御率1点台という、地獄のヒッターズパークで黒田と並ぶ奇跡の成績を収めたことも。

 マツダに移ってからは苦しかったなぁ。2点差あたりで9回になると、スタンドがざわつき始めるんですよ。「カープ、選手の交代をお知らせいたします。ピッチャー、永川」・・・。悲鳴とも歓声ともつかない絶叫。
 
 もちろん、みんな永川を応援してるんです。初球がストライクだったらものすごい大歓声。「おっ、今日はええ永川じゃ!」。これが初球ボールだと全員がため息。「ありゃー、今日も四球からピンチか」と。

 いくら観客が少ない時代のマツダとは言え、万単位の人間が一斉につくため息はキツイ。大変な仕事です。

永川01

 楽な場面での登板は生涯ひとつもなかったのではないでしょうか。永川のこの笑顔。輝いてます。

誰に何を言われようと、黙々と目の前の仕事から逃げなかった男。年齢による衰えの中でも、投球フォームを変え、使わなかったスライダーで勝負。昨季の復帰登板、ファイターズの中田を討ち取ったときは、そのピッチングと球場の歓声にラジオ聴いて泣いたもん。永川はいつもの表情だったことでしょうが。

 カープファンの誰もの記憶にきっと残り続ける寡黙な豪腕がついに引退です。入団数年目のインタビューで「いつやめたっていい。長くやれるとは思ってない」と朴訥に語ってましたっけ。出し惜しみしてまで続ける気はさらさらないと言わんばかりの恐るべき割り切りに、一発でシビれました。

 梵とともに県北・三次の星だった永川。梵がカープを去った後も、彼らの地元を走るバスにはこのイラストが輝き続けていました。
備北交通
 
 逃げることを知らなかった男、永川勝浩。本当にありがとう。右腕も体も休ませてやってください。その鉄のハートも。

 ありがとう、永川。
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コメント

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本当にあんな微笑を絶やさない永川、初めて見ました。
打たれても抑えても仏頂面で、いい意味で鉄のハート持っとるなあ、これで抑えりゃ、完璧なストッパーじゃ、と想い続けておりました。
でももうマウンドで見れないんですね。
もう、ハラハラさせてもくれない。
これまた強烈に思い出深い選手が去ります。
寂しいですね。

次郎さん

次郎さん、こんにちは。コメントありがとうございます。

ですよね!私、永川の笑顔ってほとんど記憶にありませんもん。

>これで抑えりゃ、完璧なストッパーじゃ
 ひでぇ(´;ω;`)

旧市民時代、永川が不調で2軍落ちしたことに対して、大竹が「僕が永川さんの代わりになります」ってクローザー買って出たんですよ。で、見に行ったら、四球で出たランナーを暴投で進めて決勝点取られまして。「おどりゃ大竹、誰がそこまで永川の代わりせい言うた!」と野次ったら、周りが大笑い&握手攻めでした。