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椿三十郎

椿三十郎
 この素浪人、強い。三十人に取り囲まれた窮地を1分も経ずして全員を叩き切る。
 この素浪人、策士。直情径行の若侍どもの手綱をとり、敵を欺き、藩政を救う。
 この素浪人、やや行儀が悪い。無精髭を剃りもせず、あぐらをかき、侍らしからぬ振る舞い。
 時代劇というよりは、西部劇のヒーローのような爽快かつ破天荒さ。要するにカッコいいのです。

 その藩は要職である次席家老・黒藤(志村喬。悪人も演じるのか)と国許用人・竹林の汚職が囁かれていました。主席家老である睦田は大目付・菊井(すごいわかりやすい悪人顔)が彼らの黒幕と睨み、凡庸を装いながら証拠を押さえるべく水面下で動いています。

 睦田の甥・伊坂(加山雄三だ。若い)をリーダー格とする若侍9人は、証拠もないくせに青い正義感だけで直訴状を書くも相手にされず、逆に「君らは見どころがある、全員と会いたい」と菊井におだてられて一網打尽の罠とも気付かず、深夜の社殿に集まっていました。

 そこへ「俺のねぐらで何をしている」とふらり現れる素浪人、世界のミフネ。「お前らの話を外で聞いたが、これは罠だぜ」と看破。「何を浪人風情が!」激高する若衆なれど、たちまち社殿は菊井の手の者100人ばかりに囲まれて絶対絶命。若さだけでは手も足も出ない大ピンチ。

 「俺に任せな」。単身歩を進める素浪人。「やいやい、てめえら!人のねぐらに何のつもりだ!」瞬く間に十人ばかりを叩きのめす豪快な暴れっぷり。菊井の懐刀・室戸半兵衛(仲代達矢、めっちゃクール!)は素浪人に興味を持ちます。「誰かは知らぬがいい腕だ。仕官したければいつでも俺のところに来い」。怜悧な印象の室戸はひとまず手勢を率いて引き上げました。

 救われた若侍たち床下から雛鳥のように顔を順番に出す、昭和のユーモア。古いけど笑いました。

 「おめえたちは危なっかしくてしょうがない。俺が助太刀してやるよ」と、勝手に巻き込まれていく素浪人。主席家老・睦田の身辺が危ないと若侍どもに案内させた屋敷は既に室戸の手に落ちていました。逃げ出してきた女中に「奴らを酔わせろ」と命じ、座が乱れた隙に睦田の妻と娘を助け出します。

 とりあえず、若侍の一人寺田の家に身を隠す一行。そこは敵である次席家老・黒藤の屋敷と塀一枚隔てた隣家。主席家老・睦田は実はそこに囚われていることを素浪人側は知らず、妻と娘を助け出したレジスタンスがどこの誰で何人いるのかを菊井側は知りません。

 塀一枚のあっちとこっちでめぐらされる虚々実々のかけひき、知略に剣戟。切りまくる素浪人を「乱暴はいけません」とおっとりなだめる睦田の妻、直情径行で簡単に罠にハマっては素浪人の足を引っ張る若侍だち(ホント馬鹿)、菊井の懐刀でありながらその寝首を掻く野心満々の強敵・室戸。

 さぁ、世界のミフネの大暴れが始まります!行っけぇー、やっちまえぇぇぇぇー!!!!



 93歳の父とテレビ見て過ごす予定があったので借りました。字幕読めないし、わかりやすくて古い邦画がよかろうと寅さんの2作目借りに行ったら貸出中だったので、これにしました。

 1962年とめっちゃ古いのですが、まぁ面白かったです。西部劇みたいな爽快な娯楽活劇。巨悪がいるわ人が死にまくるわと大変なのですが、笑わせにかかってる場面も多いし深刻な顔は全然ありません。各人のキャラは明快な上に話はわかりやすく96分とコンパクト。そして主人公は強くて親しみやすく、手強い適役は二枚目でクール。もういいことづくめです。

 そりゃたしかに古い。いや古いと言うよりクラシック。古典です。これを参考にした娯楽活劇がこの後山ほど世に出たのでしょう。

 ただ、織田裕二主演で同じ脚本をあえて使ったリメイク(って言ってもいいのか)があるそうですが、椿三十郎がどうしたとか言う以前にそんなやり方ってどうなのかなー(´・ω・`)。興行的にはフルスイング空振りだったらしいけど、半額デーのときに借りてみようかな。

 実写版デビルマンと一緒に。

椿三十郎3
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コメント

非公開コメント

映画のチョイスがかなりシブい!
と思ったら御父様とご一緒にご鑑賞されるためのチョイスだったんですね。お優しいわ~。御父様も92歳って凄いわ~!
寅さんみたいな面白い映画も楽しくて良いけれど、スカッとするほど腕がたち格好良い主人公の映画もいいですね!今あらすじ読んだだけでスカッと爽快気分になれました。


はーとまいんどさん

はーとまいんどさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

ずいぶん選んだのですが、93歳の爺さんと一緒に見られる映画って迷いまして。とか言いながら、どうせアタマには入らないだろうから、自分の好きなの見ようかなとも思ったのですが、少しでも記憶に残って「あれ面白かったね」とかあとで話せればと選びました。

それは別としても面白かったので、楽しかったです。「黒澤映画全部見てますよ」とか、いつか言ってみたいので(笑)ぼちぼち見ていこうかな。これで2つ目です。しょぼっ!

No title

黒沢作品はBSで何度も放映されるので見ていますが
爽快な娯楽映画ですね。

脚本が面白いし三船さんが演じる椿三十郎も存在感が有って
ぐいぐいと話に引き込まれてしまう映画でした。

椿を水路に流す合図のシーンが笑えました。

SIN=KAIさん

SIN=KAIさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

これ、ホント楽しかったです(^O^)。まさに、爽快な娯楽映画でした。教科書ですね。

三十郎は過労の奥方、若侍は三十郎との出会いがその後の成長を感じさせるのがさりげなく、良かったです。椿を流すとこは、もうドリフでしたね\(^o^)/。