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男はつらいよ フーテンの寅

おとこはつらいよ フーテンの寅01

 誰かの祝言で賑わう宿の一室、10代の女中さん(樹木希林だ)に看病されながら風邪で伏せてる寅さん。「お客さんは家族いるの?」と問われて、とらや面々との写真を見せながら「これが俺の子供だよ」と、ついてしまった小さな嘘。「所帯かぁ」・・・。後味の苦さが、里心をくすぐります。
おとこはつらいよ フーテンの寅03
 
 浅草に戻った寅さんを待っていたのは、まさかのタコ社長セッティングのお見合い話。しかも明日とは相変わらずのテンポの良さ。好きな女性のタイプを聞かれて「いや、注文なんてねえよ」と言いながら、出るわ出るわ身の丈知らずの言いたい放題。
男はつらいよ フーテンの寅10
 
 (少なくともこの回では)ザ・大和撫子みたいな女性が好みっぽいけど、どうなのかなぁ。
 
 慣れないネクタイ締めてその気になってる寅さんの前に現れたのは、幼馴染で今も友だちの駒子(春川ますみさん。ざっくばらんな女の人の役が多いなぁ)。「今の男が浮気したから、その腹いせに見合いした」と言いながらクダ巻いて酔いつぶれる駒子 (´・ω・`)。見合い台無しです。
 
 寅さんにはこのタイプが合ってるような気もしますが、駒子のために一肌脱ぐ寅さんは相手の男を連れてきて、見事二人は仲直り。調子こいて、とらやで豪華な宴席&ハイヤー呼んで新婚旅行に送り出す寅さんはいい気分。で、誰が払うの?
おとこはつらいよ フーテンの寅06

 とらやにツケとけ?冗談じゃない! おじちゃん、おばちゃんはもちろん、義弟博もさすがに怒ります。「表へ出ろい!」はよかったものの、博の柔道技(そんな特技あったのか)の前にさんざんな寅さん (´・ω・`)。せっかくの故郷・浅草はまたも自分の失敗で3日目の朝には出ていく始末。これで3作目なんですが、毎回4日といられません、とほほ。
男はつらいよ フーテンの寅09
 
 
 浅草にまたハイヤーが現れました。今度はおじちゃん・おばちゃんが骨休めの温泉旅行に出発です。三重は湯の山温泉の古めのお宿に泊まったところ、こたつの電気の調子も悪くなんかサエません。お詫びに現れた若女将・お志津さんが今回のマドンナですが、全編和服姿で演じる新珠美千代さんが、まぁ真珠のような上品さ。
おとこはつらいよ フーテンの寅05
 
「申し訳ございません、ただいま番頭が修理を・・・」
 現れた番頭はまさかの寅さん。日本せますぎ。「いやー、先代の女将が急に亡くなって後を継いだ若女将からすっかり頼られちゃって、人助けのつもりでここで働いてんだよ」とは本人の言い分で、その後現れた女中さんが言う「行き倒れ同然で女将さんに助けられ、すっかりのぼせて温泉街で有名」がホントのとこなんでしょう。
 
「来年も来てくれよ!」と寅さんに送られて、おじちゃん・おばちゃん、ホントに骨休めになったのか。そして寅さん、ここに落ち着く気マンマンかよ。

 温泉街にけたたましいバイクの爆音。お志津の弟で、東京で大学に通ってるはずの信夫でした。温泉宿の若い芸者・染奴(香山美子だ。若い頃からあんな雰囲気の美人だったのか)と恋仲ながら、彼女が妾になるという噂を聞いて駆け付けた様子。
 
 悩める若者を導くのは寅さんの得意とするところであります。なんやかんやありながら信夫、お志津の娘・みちこ(え?お志津さん子供いたの?ご主人と死別したらしいとかも、いつもながら説明ほぼナシ)とも仲良くなってます。
おとこはつらいよ フーテンの寅04
 
「お志津さん、信夫はあっしにまかせておくんなせぇ♪」。信夫のバイクの後ろにまたがり着いた先は染奴の家。これが貧しい (´・ω・`)。聞けば元テキヤ&現アル中の父との二人暮らしながら、その父親に少しでも楽な暮らしをということでの妾話とか。

「よし、わかった!」。渡世人・寅さんの本領発揮です。若い二人には駆け落ちさせ、父親は東京下町にある、元・渡世人を預かってくれてるところに一旦世話になろうとテキパキの采配。そして、父親には改めて渡世の仁義を切るのでした。寅さん、男前!

 染奴をバイクの後ろに乗せ、東京への駆け落ちをお志津に宣言する信夫。「ところで、姐さんもそろそろ吉井さんとどうするのか決めなよ。罪作りだぜ!」。いつの間にかお志津の横には、お金持ちそうな紳士が立っていました・・・。
 
 誰だよ、吉井さんって。寅さん、またもインテリにマドンナをさらわれるのか・・・ (´・ω・`)。
 

 
 1作目から全部見てみようと始めて、まだ3作目。そんな数なので以前の作品と比べようもないながらも、ちょっとハードな描写が多かったのはびっくりしました。
 
 このシリーズって、根無し草&子供のまんまの男を主人公に据えたファンタジーだと思ってるんですが、今作では触れずに済ませそうな(この映画での)現実の厳しさがちょいちょい出てきたので。

 寅さんが温泉宿に残した書置き。「みなさま、お世わになりました。とら」・・・。漢字はわずか一文字のみでした。あまり字を書いたり本を読んだりはないことでしょうが、ちょっと哀しく感じた次第。
 
 染奴の家の貧しさ。遠くに四日市コンビナートみたいな感じの風景なのですが、昭和40年代の映画ですので高度成長期のひずみが出始めた頃でしょうか。あのシーンだけ見たら社会派の映画みたいでした。
 
 社会保障もなくアル中に苦しむ染奴の父の仮借ない描き方 (´・ω・`)。でも、元テキヤさんってことは寅さんの将来像かもと思うと、それも辛かった。染奴のお父さんは、それでも親分も娘もいる分、ホントに1人の寅さんよりはまだマシななかも知れないし。
 
 
 恋心破れて、苦い表情で1人温泉街を去る無一文の寅さんと、お志津・みちこを乗せた吉井の大きな外車とがすれ違います。お志津のいない旅館に(いると思って)別れの啖呵を決めた後だったのもあって、その対比は辛かったなぁ。
男はつらいよ フーテンの寅11

 さらに辛かったのは、年越しを迎えたとらや面々(手伝いに駒子夫妻もいた。よかった)が見る白黒テレビの中では、「行く年来る年」の中継に霧島から写り込んだ寅さんが、またも妻子がいると虚しい嘘の後に「お志津!みちこ!」と呼びかけ、浅草で見守る人たちをしんみりさせてました。トドメは、そのシーンが映る吉井邸のカラーテレビ(!)は誰も見ていなかった残酷さ。
 
 
 いつものお話っちゃそうだったのですが、なんかビターな終盤とそれがオープニングにまたループするような、ちょっとざわつく第3作目でした。あ、ホントのラストシーンはむっちゃ豪快で笑いました。そこは救われたー。
 
 寅さん、男はつらいねぇ。でもやるだけやったよ、カッコ良かったよ。4作目も楽しみにしてるよ。
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