FC2ブログ

バグダッド・カフェ


 
 アメリカ? と思しき砂漠で、中年の夫婦?が車の中で口論をしています。車輪を砂にとられて車を出せずにイラつく亭主と、悪態をつく婦人。もう、何をやっても互いをイラつかせるばかりで。
 
 とうとう、スーツケースひとつで、観光旅行風のおしゃれをした婦人は一人で砂漠のフリーウェィを歩きはじめ、その横を通り過ぎる亭主の車・・・。
 
 
 ようやく辿りついた「オアシス」は、ちっとも流行っていそうにないモーテル「バクグット・カフェ」。
 
 ついさきほど、ろくでなしの男が妻である女主人に叩きだされた直後。 旅行者風の婦人、ジャスミンはそこに宿をとります。
 
 とりあえずひっつかんだスーツケースは、どうも亭主のものだったらしく、衣類は男物ばかり。用もない手品セットまで入っていて。
 
 ジャスミンはドイツから来た中年女性。決して映画に出てくるような美貌やスタイルの持ち主ではありません。いや、彼女だけでなく、登場人物の全ては、「そのへんにいそうな」人たちばかり。
 
 とびぬけて優秀でもなく、むしろちょっと欠点が目立ち、寂しがりで、人に心を上手に開けずに。
 
 女主人のブレンダは、追い詰められていました。ろくでなしの亭主を叩きだしたものの、働きの悪い店員、言うことを聞かずに遊びまわる娘、泣きわめく赤ん坊、ピアノばかり弾いて働かない甥っ子・・・。
 
 あぁ、なんでアタシだけがこんな目に。ドイツ人かなんだか知らないけど、小金持っていそうなあの女に何がわかるってんだよ。
 
 ジャスミンとて、行き場所があるわけでなし。やがて、彼女は、ここでの自分の居場所を少しづつ作るかのように、掃除を始め、店を手伝い始めます。
 
 テリトリーを荒らされた、自分の至らなさをとがめられたとばかりに荒れるブレンダ。
 
 しかし、やがて二人は心を通わせ、店は、この人たちは少しづつ変化を起こし始めます・・・・。
 
 
 
 名作とかで、手に取ってみました。
 
 女性が主人公のお話しは、感情移入が難しいことも少なくなく、この映画もそうだったのですが、いいお話しでした。
 
 砂漠の砂のようにバラバラだった人たち(実際、人種も年齢も)が、少しづつ心を開くことで、顔つきも態度も声の調子もどんどん暖かくなっていくさまは、とっても素敵です。
 
 各々の人生への説明はほとんどありません。もちろん、不要です。
 
 全くの私見ですが、映画が文学がつじつまがあってなくたって、私は全く気になりません。それは説明がなかった、又は自分が知らないというだけで、肝心なのは、琴線にふれるかどうかのみ。実人生なんて、知らないこと、理解し得てないことばかりだ。
 
 
 (なぜかは分かりませんが)「ここで生きる」と決めたジャスミンは、とても潔く、強かったです。そうだ、これなんだ。
 
 寂れていたカフェも、人が詰めかけ、笑顔と歌声に溢れたカフェも、同じバグダット・カフェでした。
 
 あぁ、そうなんだ。どこかにある(=ここにはない)だろう幻なんか追うよりも、今ここで変わっていく方がパラダイスへの近道なのかも。
 
 それは、ちょっとの思いやりと、身ぎれいさと、笑顔と赦しが開いた扉の向こうに。
関連記事
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

No title

お久しぶりです
少々古い記事にて失礼します

『バグダッド・カフェ』
私も大好きな映画の一本です
その景色の如く、渇いた生活を送ってきた二人の女性を軸に紡がれたドラマ。
度々かかる゙コーリング・ユー゙から受けるイメージが、物語冒頭と終盤で何時しか真逆になっていた事に驚かされました。

始めはただ切なく物寂しく、しかしエンディングを迎える頃には物寂しさの中にも温かさを感じた物でした。

とても印象に残った一本です

No title

カッパさん、こんにちわ。コメントありがとうございます。

「コーリング・ユー」って、耳にすることが多かったメロディですが、この映画のオリジナル曲だったんですね。何にも知らんなぁ、オレ(笑)。

また、いい映画があったら、教えてくださいね。よく知らないもんで(笑)。