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東京原発


 
「東京に原発となると、リスクが高すぎます」
「・・・誰にとってのリスクなんだ?」
「もちろん、国や電力会社です。彼らは、死亡率と賠償コストを机の上でタバコをくわえながら計算しますから」
「・・・命のリスクは、誰にとっても同じだろう」
「・・・え?」
「5000人の村でも1500万人の都市でも、一人ひとりの命のリスクは同じだろう、と言ってるんだ! 東京に原発をつくるのがなぜダメなんだ。福島や新潟に原発をつくるのは賛成するクセに」
「別に、賛成してるわけじゃない」
「じゃあ、なんで傍観者でいられるんだ? 国のやることに傍観者でいられるのは賛成しているのと同じだぞ。福島や新潟に原発を押し付けておいて、電気を浪費しているのは東京都民じゃないか」
「・・・では、知事は原発のリスクを承知で東京に誘致すると仰っているんですか・・・? 原発のリスクを都民に背負わせるというのですか?」
「そうだ! それがいやなら、電気なんか使わなきゃいいんだ!!」
 
 
 東京都知事、天馬は歯に衣着せぬ言動で人気を博していますが、やや独断専行なスタイルは部下たちを困惑させることもしばしば。
 
 今日も内容があきらかにされない緊急会議が召集されました。「またいつもの思いつきか」と集まった部下たちに告げられたのは、「東京に原発を誘致する。オレはもう決めた」。
 
 ・・・!!!!。
 
 いや、理由はあるんだ。聞いてくれ。
 
 まず、電源立地法って大バラマキ法のカネをもらう側に廻れば、都の累積赤字が解消できるだろ?
 
 次に、東京につくるってことは、高い送電コストも漁業権・農業権補償のコストもいらないから、外国に比べてべらぼうに高い電気代が下がるんだ。となると、企業の競争力も都民の消費も伸びて税収がアップするだろ?
 
 もうひとつ、ほとんど棄ててる原発の熱源を有効利用すれば、都内の空調もすべてまかなえる。いいことずくめじゃないか。
 
 コンクリートの無粋な建物が、福島や新潟はじめ地方の美しい環境をぶっ壊してるが、東京の自然なんてとっくに壊れてるんだから、原発がひとつできたってどうってこたぁない。立地は・・・、そうだな。ここがいいじゃん。都庁のまん前の新宿公園。プールも横にこさえたら利水も解決だ。はとバスのコースにでも加えるか?あ?
 
 挑発的な提案に部下たちは困惑します。やがて原発否定派学者の説明から、議論は地震国日本での原発安全神話の矛盾、核廃棄物の処理問題、果ては日本に原発そのものが必要かというところまで行き着き・・・。
 
 
 意外に面白かったです。というか、相当な問題作と思いました。
 
 2002年の映画なんですね。それでも公開はその2年後。大体、けっこう有名なメンツをそろえた映画なのに、DVDにはCMも収録されていません。
 
 「フクシマ」の前にこういう映画がつくられていたとは。もっとも、すんなりとはいかなかったみたいで、それもこの映画が言わんとしていることを補完するエピソ-ドのようです。
 
 そして、「フクシマ」は起きてしまい、原発の是非以前に我々の生活は再び電気をじゃぶじゃぶ使うものに戻りつつあります。
 
 本作の主張は、もう娯楽作品ではいられなくなったのかもしれません。かと言って、妙に祭り上げられるのにも違和感を感じますが。
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