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夢見るように眠りたい


 
 豪奢な洋館の一室。映し出されているのは、古い古いサイレトのチャンバラ映画。姫君をさらった悪漢一味を追い詰める快傑黒頭巾。
 
「全ての謎は解決した・・・」

・・・クライマックスで突如途切れるフィルムに、身を捩って嘆く老婦人・・・。

 モノクロ・サイレントの演出になる舞台は、昭和20年代後半と思しき(感じとしてはもっともっと古い、ノスタルジックな雰囲気の)東京。
 
 売れない探偵の元に、「月島桜」なる裕福な老婦人からの依頼を携えた、これまた老紳士が訪れます。
 
 内容は、桔梗なる娘が誘拐されたとのこと。悪漢一味から送られてきたテープを聞いてみると、本気とも冗談ともつかぬ芝居がかった調子の声明が。
 
「我々は、Mパテー商会。ご令嬢の桔梗様は、昨晩より我々が丁重にお世話をさせていただいております。つきましては、金100万円をご用意の上・・・、いやいやそんな無粋はまだ申しますまい。
 まずは謎解き遊びと、洒落こもうではありませんか・・・」
 
 少年向けの探偵小説まがいのトリックと、すんでのところで姿をくらます悪漢一味。何度失敗しても探偵を指名する不可解な依頼人。そして時折姿を見せる、囚われのヒロイン・桔梗の尋常ならざる美しさと歌声・・・。
 
 何者だ、依頼人・月島桜!
 何者だ、Mパテー商会!
 そして、そもそも桔梗なる娘は実在するのか・・・?

 現実と虚構の境界がゆっくり溶け始める頃、さえない探偵の瞳は、姫君を救い出す快傑・黒頭巾の光を帯び始め、美しいラストに向かっていきます・・・。
 

 林海象の最高傑作(そう思う)にして、怪優・佐野史郎の銀幕デビュー作。そして私の大好きな映画で、何度見てもラストで泣いてしまいます。今日も久しぶりに見て泣いてしまいました。
 
 おとぎ話が少々つじつまが合わなくても、途中から観客にこれ見よがしの伏線が用意されていて、何が悪いのか。
 
 素敵な素敵なラストのために用意された、数々の演出と美しいメロディー。
 
 驚くほどに少ないスタッフ(&恐らくの低予算)に反比例する、映画への愛。

 邦画で一番好きかもしれません。劇場で見たかったなー・・・。
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コメント

非公開コメント

No title

佐野史郎氏、良いですね。
映画「ワイルド7」の草波役は彼に演って欲しかった...
故大泉滉さんも出演していたりと怪優盛沢山(?)、且つ素晴らしい映画でしたね。
凹。

No title

悪人25号さん、ありがとうございます。やはり、あなたは見ていてくれましたか。そして、大泉氏(絶対目立ってますよね)に触れても下さり、ありがとうございます。
それにしても、ワイルド7とは、ウレシイですね。TV版(千葉弟)の主題歌がカラオケで見つからないのが残念です。佐野の草波かぁ・・・。いいなぁ。あの信念と冷酷(ラストの狂気じみた展開は少年誌の域を出てましたね)。