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佐々木常夫/ビッグツリー


 奥様はうつや疾患を患い、40回以上の入院と数度の自殺未遂。お子さんも自閉症、自殺未遂と、平坦ではない家庭生活を主夫として支えながら、ビジネスの場でも社長にまで上り詰めた方の手記です。
 
 スーパーマンと賞賛されるべき氏ですが、当たり前ながら男性視点であり、次男さんからも後に指摘される「奥様へのある種の無理解」等々、決して完璧な人間(いるのか、そんなヤツ?)ではありません。
 
 実際、この本を語ったネットでの言葉にも、そういった指摘は数々。私自身も、氏の行動には心から敬服しながらも、若干の違和感も感じはしました。

 ただ、これは一個人の、本人の手になる人生の記録です。○○がヘンだ、××はどうか、といった「評価」の対象にして良いものなのか。それは、著作である以上、本として売られている以上、本書をきっかけに氏がいまや講演や著作で有名な人物であるにせよ。
 
 ハンマー投げの室伏選手のお父さんの言葉で、「高い負荷が人を成長させる」といった意味のものがあったように記憶しています。トレーニングを始めた頃、そういった雑誌の中かなにかで見つけたものなので、鍛えることで身体能力を伸ばすには、といった文脈の中でした。
 ただ、それが今も印象に残っているのは、国籍の異なる女性と結婚したことについても、習慣や考え方の違いはある意味負荷なのだが、それが自分をまた成長させるのだ、と脱線していたことでした。その自分への反骨こそが、氏をもって室伏たらしめたのだ、と。
 
 佐々木氏は、限られた時間、己が生の中で、よくぞこれだけに挑戦し、最後まで逃げなかった(そして、何ごとかを為しえた)と、心から尊敬します。
 
 なんとなれば、スケールや質は異なっていても(例えば、私は社長にはなれそうもない)、その挑戦は私にもトライできるものなのだから。
 
 著作自体は、他のビジネス書(本物の営業マンの話をしよう等)の方が好きですが、男性の先輩として、触れさせていただき大変勉強になった一冊でした。
 
 家族・家庭に挑戦している多くの女性にも、このように陽が当たればいいなぁ。
 

印象に残った箇所
・ (自閉症の親の会に参加し)そこに父親が参加することは少なく「やはり面倒を見るのは母親か。世の父親は何をしているのだ」と思ったが、考えてみれば、我が家はたまたま浩子が病気だったからであり、彼女が元気なら私も世の父親と同じなのだと思い返した。
 
・ (自殺未遂した長女に宛てた手紙より)あなたの感じていた苦しみや悩みを共有することは、父親としてなかなかできないことです。それでも、そのことに気がつかなかったことは、悲しいことです。(中略)あなたの人生は、あなたが決めていくものです。それは初めから決まっているものでは決してありません。
 
・ (次男の手記より)父は明るく前向きなのはいいのですが、母の弱さと言うか繊細なところをあまり理解していなかったではないかと思います。
 
 
・ 私を支えてきたのは、家族、友人、同僚など、私の周りにいる人たちとの連帯感、お互いに発信する愛情である。(中略)私は決して不幸なだけではなく、幸福でもあるのだ。
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