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下町ロケット

 ・殿村だって、二十億円の金が欲しいに決まっている。なのに、特許の売却に賛成しないで、冷静に判断してくれといったのだ。銀行から出向して佃製作所に来てからというもの、ずっと資金繰りで苦労してきた殿村にとって、それがいかに苦渋の選択なのか、佃には痛いほどわかる。・「(特許を帝国重工に)売らなければ彼らのロケットは飛ばない。スターダスト計画はそこで頓挫する」。その言葉に、全員が息を呑んで、佃を見つめ...

プロジェクトX 巨大台風から日本を守れ

・気象庁のバラックで吉武や藤原が富士山頂レーダーのアイデアを得たとき、彼らの心には、目の当たりに見た台風災害による悲惨さと、気象予報に関わる者としての無力感、将来の大災害に備えなければという使命感のないまぜになった感情が、たとえ無意識下ではあれ、あったことは疑いない。・ (事前調査のための登山中、強風と凍った地面で厳しい行程となり)たまりかねた伊藤は、強力の勝又に「みんなをザイルでつないでくれ...

窓際族が世界規格を作った

  問題は「開発中」と「開発の後」の二つにあると高野は考えた。「開発中」の問題とは、誰もが良いと思えるものをつくり出すだけの時間と環境、資金を確保できるか。「開発の後」の問題とは、仮にいい方式を開発できたとして、その方式を世の中に広める力があるかということだった。 (事業部長就任の辞令に)自分一人が夢を見て、時を得ず退職に追い込まれるのは仕方がない。しかしそれは、VTR事業部220人の多くもま...

会社は頭から腐る

 ・経営の本質の難しさの本質は、ほとんどが経営の持つ人間的な要素に還元される。経営者も幹部も、従業員も顧客も取引先も人間であり、その多様で情緒的なもの、利害損得が各人のレベルでごちゃごちゃになったものに突き動かされて行動する。 ・インセンティブと性格の奴隷となる「弱さ」にこそ人間性の本質のひとつがある。「性弱説」に立ってはじめて多くの現象が理解可能になってくる。インセンティブとは働く上で何...

男子の本懐/城山三郎

 ・  職が変わり、家が移っても、浜口は勉強だけは続けた。役所関係の書類も家に持ち帰った。数字の羅列に食いつき、事実、よく数字を記憶した。もともと数字に強かったわけではない。「自分のような職務の者は、数字がわからぬようでは務まらぬ」という自戒からであった。(不遇の役人時代にも、この勉強に裏付けられた堂々の国会答弁で一目を置かれる) ・  「(日銀で活躍しながらも総裁から煙たがられ、左...

竜馬がゆく

 ・ (蘭学を学んだ折に)「今の訳、間違うちょります」。塾生は、みな驚いた。蘭語のひとつも覚えようとしないこの剣術使いが、いきなり先生の誤訳を指摘したのである。(中略)いまの翻訳では、竜馬がカンでさとった民主政体の本義からはずれているのである。・ (妻となるおりょうから死生観を問われて)「死ぬ?おれは死なぬよ」「でも、人間はみな死ぬものでしょう?」(中略)「大和の山上に蔵王権現をまつる...

ケビン・メア/決断できない日本

 ・ 日本では実質的に、原発に何らかの事故が発生した場合、直ちに運転を停止するという基準が設けられていて、それが結果的に東電の情報隠蔽体質につながっているように思われました。トラブルが起きた場合に直ちに原子炉を停止するというやり方は、現実的ではないし、賢明とは言えない。そのタテマエとしての厳しすぎる基準が、逆に情報隠しが横行する温床となっているような気がしてなりませんでした。 ・ ...

これからの「正義」の話をしよう

 ある社会が公正かどうかを問うことは、我々が大切にするもの(収入、財産、義務、権利、権力、機会、職務。栄誉)がどう分配されるかを問うこと。公正であれば、これら良きものが正しく分配される。  小難しいですね。この文体に馴染むためだけでも2回読み直し、そのたび「へー、エライ人はすごいなー」と感心してました(結局7回読み返した)。・・・これまでの哲学がこの「公正」をどう考えたてきたかをさまざまな例で...